各メディアを見渡してもトップグレードのM40iの試乗記事しか出でこない新型Z4。
今回はそのベースモデルであるZ4 20iに試乗しました!グレードはもちろんMスポーツ。
結論から言うと・・・非日常感は味わえるものの、普段使いには向かない。かな。
ロードスターですからね、セカンドカー的な趣向が強かったです。当たり前だけど。
新型Z4 20i試乗!
ハンドリングやドライブフィール
ミシュランパイロットスーパースポーツ
なんと言ってもまずはタイヤが太すぎでしたね〜。。
「大きさ」ではなく「太さ」の方。
試乗車はオプションの19インチだったんで、大きさの方もなかなかに派手だった訳ですが、それ以上に気になったのはタイヤの太さ。
後ろが275mm幅、前が255mm幅のぶっといタイヤでした。19インチで低扁平(扁平率35)で見た目的にはかなりよろしいのですが、乗り心地的にはかなりのマイナス。
サーキットのごとくキレイに整地されたアスファルトなら全く良いのですが、ふつーの市街地って大抵継ぎ接ぎだらけでめちゃめちゃ凸凹してるじゃないですが。
そういう所を走ると突き上げとは別に僅かにクルマが「ズレる」様な動きも入ってきてまあ凄いです。軽自動車なんかで走れば全く気づかないようなちょっとした轍なんかにも超過敏に反応して、路面の状態をある意味正確に、余さず伝えてくれました。
FRのBMWは得てして前後異径タイヤを履くのが常で、我が1シリーズも後ろは245mm幅、前は225mm幅という仕様です。新しい3シリーズは後ろ255mm、前225mm。正直この辺りまでが限度ですかね〜。
それより3cmも太いタイヤになると、凹凸のある道をキレイにまっすぐ走るのが難しくなります。常に路面の干渉を受けてハンドルを捌いていなきゃいけない。気が抜けないです。
ワインディングも路面がキレイだと十分楽しめるんですが、同じく荒れてたりするとハンドルを握る手にグッと力を込めなくてはなりませんでした。
タイヤはミシュランのパイロットスーパースポーツなのでグリップは抜群です。素晴らしい。
そしてなんと、Z4はスタンダードグレードはランフラットタイヤ、MスポーツとM40iはなんと非ランフラットタイヤという嬉しい仕様。
と、言っても19インチともなればだいぶ硬い印象で、これが更にランフラットだったら一体どんな乗り心地になってしまうのやら・・・と。
指定空気圧は220kpaだが・・
ちなみに、指定空気圧は前後ともに220kpa。ディーラーを出てからしばらくはあまりの硬さで「非ランフラットでこれ!?」という感触。凹凸のある路面を走れば跳ね返されるような挙動で左右に揺すられて、まったく気が抜けない走り。
どうしたもんだとエアゲージで空気圧チェックをしてみると、、
4輪ともに260kpaオーバー。
うーむ。
走行によって少々圧が上がるとしても真冬であれば、せいぜい+20kpaでしょう。てことで、温感で4輪240kpaくらいであれば適正空気圧と言えそうなところ。
そこからさらに20kpa増しの260kpaとなれば、、硬いのも頷ける状態。
てな訳で、4輪とも240kpaほどに抑えてみて再びのドライブ開始。
・・・だいぶ良くなった!
それでも跳ねるような感触は残るが当初よりはだいぶ走りやすく快適さも増した印象。
とはいえ、19インチの極太仕様。非ランフラットとはいえ、それでもかなり硬質な乗り心地です。
良く曲がる!も、曲がり方がちょっと違う。
クーペであれ、SUVであれハッチバックであれ、基本的に横から見るとホイールベースの中心にドライバーを配するのがBMWの流儀。
3シリーズもX3も1シリーズも、そしてFFベースのモデルを見ても基本的にホイールベースのほぼ真ん中にドライバーが座るように出来ている。
対してZ4のサイドビューを見てみると、、
着座位置がホイールベース中央よりかなり後ろにあることがわかります。
続いてエンジンルームを覗いてみると・・・
真横から見て、フロントアスクル(前輪軸)とエンジンの位置関係はご覧の通り。写真ではエンジンカバーの具合もあって前輪軸のほぼ真上にエンジンがあるように見えますが、実際は前軸よりもわずかに後ろ。キャビン側に食い込むように配置されています。
一番の重量物であるエンジンが車体中央に近づくことによって、鼻先が軽くなり回頭性が良くなるのがこのパッケージの特徴。
というか、FRのBMWは大抵がこの作りで、それによって前後重量配分50:50を実現し、軽快なハンドリングを実現している訳ですね〜
Z4の場合、3.0L直列6気筒エンジンを積むトップモデルのM40iだと当然エンジン重量が増し、車重も20iより100kg増。
圧倒的なパワーを味わうならM40iなんでしょうが、回頭性の良さからくる軽快なハンドリング、言うならば「よりBMWらしい」乗り心地を味合うならば、間違いなく軽いエンジンを積んだ2.0Lの20iでしょう。と。
これ、我が118dと118iの関係でも述べたように、エンジンの軽さは回頭性、ひいてはハンドリングに大きく効いてくるのがとっても面白い所。
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パワーのあるクルマ=楽しい車クルマとは決してならないのが興味深い所で、単純にハンドリングの軽快さを味わうなら軽い小さいエンジンの方が圧倒的に良いはずです。
で、Z4。
エンジンの搭載位置は大変良く、更に軽い2.0Lエンジンなので鼻先の軽さをひしひしと感じましたが、着座位置が他のBMWと違うことで体感的には「曲がる感じ」が若干違う印象でした。
自分中心に回る。という感覚が例えば118iなんかは強いですが、Z4はちょっと違ってなんというか、、「一歩引いた位置から回転を眺めている」感じ??という微妙な例えで伝わるでしょうか。
扇の軸の部分から眺めているような。
そんな感じで他のBMWとはちょっと曲がり方が違うなぁ。というのが率直な印象でした。
これ、ハンドルを「ギュインっ」と切るとその回頭性を存分に感じられるのですが、普通に走ってると「あれ?こんなもん?」という感じがしなくもなく。
多分Z4の良さが一番生きるのはタイトコーナーが間髪入れずに連続するようなかなり細かい峠道かなにかで、緩いRが続く気持ちいいワインディングロードだとちょっとその真価が発揮出来ない感じ。
ホイールベースも短いから尚更激しいコーナー向きで、気持ちいいクルージングロードだと逆にちょっと落ち着きがない。
逆にこの辺りがM40iだと想像するにちょうど良かったりして、

ということを改めて考えさせられた試乗でした。
オープンは超爽快!!
まあしかし。私人生初のオープンカーでしたが、これはもう爽快そのもの!
オープンで作られたクルマはオープンにしてなんぼです!当たり前ですが。
オープンにして真価が発揮される。と言っても大げさではなく、乗り心地も全く別のクルマになったかのように錯覚しますね!
ちなみに当日は晴天ではありましたが、真冬。気温は8℃ほど。寒いだろうと思って一応ダウンも持参しましたがこれが意外と寒くない。結局ダウンの出番はなく、エアコンをガンガンにし、あとはさすがにサイドの窓は閉めた状態にして終始走っていました。
さすがにここが開いていると風がガンガン吹き込んで来ますが、閉めていれば案外平気でした。
ルーフを閉めた状態だと、
「意外と内装ミシミシ言うな・・」とか「ロードノイズハンパねぇ!」とか「いや、ちょっとマフラー演出しすぎじゃない??」とかついつい色々あら探しをしてしまったんですが、開けた途端にそんな細かい事は
吹っ飛びました。

もうそれだけ。それで充分でしょう。この非日常感。
細かい事は抜きにして剛性感は凄いし、タイヤのグリップもガッチリ。路面にねっとり吸い付きすぎて小石の巻き上げが凄い!
結論:改めてF20型1シリーズの出来の良さを思い知る。
このクルマを所有するなら、365日どんなシチュエーションでも乗りたい。そんな風に思うは思うのですが、2シーターという事は抜きにしても、やっぱりちょっと使いづらいかな。という結論には達しました。
街なかではルーフクローズ。で、郊外に出たらオープン!というドライブ生活は最高に幸せな気がしますが、やっぱり足回りがもう少し扱い易ければ・・ね。
ちなみに先代よりかなりワイドになった新型Z4ですが、全幅1,865mmは全然気にならず。あくまでコンパクトな感じで街なかでも運転できました。
色んなクルマを試乗してきて、最近気付き始めたのは「やっぱり小さいクルマって楽しい」ということ。
自分にジャストフィットしたサイズ感て大事だなぁ。と。
そういう意味ではとてもいいサイズでフィット感はあるものの、やはり「毎日乗れるか」というフィルターに通すと不思議とそうは思わなかったのが事実。
どこかスペシャリティ感があるからでしょうか?
毎日毎日、通勤に買い物に休日のドライブに、と乗り回すより、とっておきの一台として温存したくなるようなスペシャル感を持ったクルマな気がします。そういう意味では今所有するF20型1シリーズはよく出来たクルマだなぁと改めて。
新型Z4、愛人としては最高でも、本妻としては・・・みたいな!?