VOLVO 試乗記

【ボルボXC60試乗】洗練を極めた内外装で「快適に移動する」ためのクルマ。

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インテリア・装備

ダッシュボードには恐らく本物の木材であろう装飾が施されていた↓

ただ、木材の上から念入りにコーティングがされているような様子はなく、触れれば直に木材の感触が伝わって来ることから、経年劣化でひびや割れが出てきたりしないだろうかと気になった。

しかし、質感としてはかなり良い雰囲気でまさに「インテリア」、部屋の中、という感じがして快適。 (試乗車はオプションのBowers&Wilkinsオーディオシステム搭載)

要所要所にあしらわれたメッキパーツも効果的で質感向上に一役買ってる印象。

そしてインフォテイメントシステムの拡大によって物理ボタンはここまで減った。

一世代前のボルボ車のインフォテイメントシステムはそれはそれは使い難く、ボタン過多と言っていいくらいの煩雑なものだった。おまけに本体では出来ない操作がリモコンに託されていたりして混乱の極みだった感は否めない。

それからすると大幅な向上、改良である。

インフォテイメントシステム「 SENSUS CONNECT」

9インチの全面タッチパネルディスプレイ。感覚的にはiPad miniのサイズに近い。カタログでの印象からもっと大きなディスプレイを想像していたが、「意外と小さい」と言うのが第一印象。しかし同じ9インチでも横じゃなく縦にすることでこうも使いやすくなるのか。という驚きがあった。

インフォテイメントシステムはBMWのように、手元で操作出来るコントロールユニット+タッチパネルという組み合わせが最強。と考える。

ドライバーが運転中にあれこれと操作する際にいちいちディスプレイに手を伸ばすのは煩わしい。そして物理ボタンが無いタッチパネルの特徴からブラインドタッチが極めて難しい。よってどうしても視線がディスプレイに持って行かれてしまう。対して手元のコントロールユニットならば、遠くのディスプレイまで手を伸ばす必要が無いし視線の移動も最小限で済む。しかし、時には直感的に画面にタッチした方がスムーズな場合もあるので、両方あれば尚良。という理屈だ。

この点BMWの上位モデルは大変良くできている。手元にコントロールユニットがあるから視線移動の少なさを優先してダッシュボード上部にディスプレイが設置してあるし、補完的にタッチパネルにも対応している。

この点、XC60は手元コントロールユニットはなく、タッチパネルでの操作のみという事で操作性が劣るのではと最初は思った。しかし実際に触ってみるとイーターフェースは直感的で、迷いなく操作出来るよう、とても良くデザインされている。尚且つ画面が大きい故に各ボタンも大きい。スワイプやピンチと言ったお馴染みにのアクションが使え、スマホやタブレットに慣れ親しんだ人間には極めて自然に操作できる。

ディスプレイ下には、iPadで言う所の「ホームボタン」的な物理ボタンがあって、これを押せばどの階層にいようとも最初の画面に戻ってこられる。という所もまた、タブレットやスマホの操作性を模しているのではないかと思わせる。

ただし、スワイプやスクロール、ピンチと言った動作は、普段iPhoneやiPadのあの「ニュルニュル感」に馴染んだ人間からするとどこかぎこちない。廉価のアンドロイド端末みたいな感じ。とは言え、我慢できるレベルではある。

このディスプレイ上で、オーディオ・ナビ・エアコン・シートヒーター・各種車両設定などなど。あらゆる機能を調整出来るようになっていて、この方式の先陣を切ったテスラよろしく、車が情報端末と化していく時代に於いては競合他車もいずれこうなっていくんだろうな。という予感をさせる出来だった。このインターフェースだと逆にコントロールユニットでの操作の方が煩わしいかもしれない。

いっそタッチパネルのみで。という戦略は正しいと思う。

インフォテイメントが重視される時代に

洗練されたインテリアに劣ること無く、期待以上に洗練されたインフォテイメントシステム。

これからの車はひとつの「端末」として多くの機能が実装されていくはずで、運転の楽しさや快適性と同じくらいインフォテイメントシステムの操作性が求められる時代になると考えられる。ディスプレイは今後ますます大型化していくだろうし、パソコンやモバイルの世界で起きたように共通のOS・インターフェースを積む時代がくるかもしれない。この辺の波に乗り遅れまいとする気概がボルボからは感じられて安心する。

比べて、同じくタッチパネルのみという構成ながら、地獄のように使い難いクソUIを搭載する他車(例えばTiguanなど・・)は大いに見習わないといずれ時代に取り残される運命にあるのではないかと思う。

パーフォレーテッド・ファインナッパーレザーシート

試乗車はXC60 T5 Inscription。標準でパーフォレーテッド・ファインナッパーレザーが装備される。パーフォレーテッド、つまり穴あき加工のレザーシートで、色はアンバー。写真だと随分鮮やかだが実際はもう少し落ち着いている印象。

このシートはフロント・リア共にシートヒーター付き、そしてフロントは更にベンチレーション付き。ポツポツ穴から涼しい空気が出てきたのは感激だった。真夏のドライブはもちろん、冬でもシートと密着する太もも裏、腰から背中にかけてはびっちり汗ばんでしまう人間にとっては快適そのものの装備である。

フロント両シートはもちろん電動。

  • 前後
  • 高低
  • 背もたれ角度
  • 座面角度

の8way仕様。加えて前方の丸ボタンでランバーサポート、両脇のサイドサポート、シート膝裏部の伸縮、更にマッサー機能を調整。ご覧のように座面もかなり傾斜を付けることができる。背中側にも体重を分散させることでロングドライブが快適になる。意外とこの機能が付いていないクルマも多く、個人的には見逃せないポイント。

マッサージ機能はちょっとやり過ぎ。無くてもいい。

その他、地味な便利機能としては助手席のシート調整機能。センターディスプレイのボタンを押してから運転席側のシート調整スイッチを操作すると助手席のみが動く。運転席と同じように前後、高さ、背もたれ角などなどを調整。これで初めて乗る友人や、操作に疎い妻(?)に、「そこの左側の下のスイッチを前の方に・・いやそこじゃなくてそっちの・・」などとあれこれ言う煩わしさが解消されるはず。なんてスマートなんだ。ひとりで乗っていても助手席動かしたい場面は意外と多い。

これは便利!

そして極めつけは運転席のみに付けられたこの小さなスウェーデン国旗↓

こういう遊びココロは嫌いじゃない。が、これが日本車で日の丸があしらわれていたら・・・個人的には良いと思うが・・・色々言う人もいるかもしれない。スウェーデン国旗とボルボのなせる技か。

そして更に余談、シートと同色のキーがオシャレで素敵だった↓

パノラマ・ガラス・サンルーフ(オプション)

  • パノラマ・ガラス・サンルーフ ¥206,000(税込)

最上位のT8 Twin Engine AWD Inscriptionには標準装備。それ以外はオプション装備となる、運転席頭上からリア後方までの広大なサンルーフ。

運転席だとあまり視界に入らずそうでもないが、後席に座ると開放感がバツグンに良く気持ちいい。下取りや買取時にはこうした分かりやすいオプションは査定UPに繋がる事が多く、リセールバリューや乗員の満足感を考慮するとあってもいい装備なのかもしれない。

が、前述したようにサンルーフが付くことで車重が30kg増える。しかも車両最上部にそれだけの重さが増える。

クルマの運動性能を高めたければ重心は出来るだけ低くした方が良いはずで、その為に高価なスポーツカーは天板に軽くて上部なカーボンやマグネシウム合金を使ったりする。車両上部が重くなるのは運動性能の追求に真っ向から反する訳で、クルマに「運転の楽しさ」を第一に求める自分のような人間にとっては無用の長物である。

しかし、クルマに「移動の快適さや心地よさ」を第一に求めるユーザーにとっては最高の代物だと思う。

Bowers&Wilkinsオーディオシステム(オプション)

  • Bowers&Wilkinsオーディオシステム ¥420,000(税込)

全15スピーカー+サブウーファーのプレミアムオーディオシステムは全車がオプション設定。CDを流してみたところ、さすがに音質は良い。スウェーデン・イェーテボリにあるコンサートホールの音響を再現するサラウンドモードなど、臨場感を高める演出もある。

これも前項サンルーフと同じで、「運転の楽しさ」を求める人間には無用の長物となり、逆に「快適さや心地よさ」を求める人間にとっては外せないオプションになるはずだ。

前者である自分ならば42万円のオーディオより30万円の「電子制御式4輪エアサスペンション」を選ぶ。

確かに音はいいし、クラシックなんかを聞くには持って来いのシステムだとは思うが・・・。人それぞれだ。

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VOLVO XC60 T5 AWDのエンジン・走り・ハンドリング

エンジン

試乗したT5に搭載されるエンジンは4気筒直噴ガソリンターボ。その他のラインナップは冒頭の通り。

スペック

  • 最高出力187kW (254ps)/5,500rpm
  • 最大トルク350Nm(35.7kgm)1,500−4,800rpm
  • 燃費 12.6km/L

ディーゼルの太いトルクに慣れた身としては加速に多少の物足りなさは感じるものの、普通に走るなら申し分なく。

燃費はカタログ値では12.6km/L。

高速道路を一区間、あとは街中の一般道、ちょっとだけ山道、という60kmほどの走行で実燃費は約8km/Lほど。もちろん常に走行モードを「ダイナミック」に設定し高回転まで引っ張るような走り方をした結果だが、もう少し良い数字が出ると有り難かった。ストップ・アンド・ゴーを繰り返す生活圏での使用だと更に厳しい数字になるかもしれない。

この燃費の部分も含めて、SUVにはやはりディーゼルエンジンの方が相性が良い。どうしても車重があるだけに、力強さがあるディーゼルエンジンに一日の長がある気がするのだ。もちろん、燃費と価格を考慮しないのならば、最上位パワートレインを積んだT8 Twin Engine AWDが良いに決まっているのだが・・。

ディーゼルエンジンを搭載したD4 AWDは遅れて市場投入とのこと。

トランスミッション

トランスミッションは8速AT。もうこのクラスでは当たり前、標準的な内容。これと言って目新しい訳ではないが、しかしやはり8速もあると頼もしい。

シフトノブを左に倒せばMTモードに移行。ただし、シフトアップ・ダウンの方向は手前に引いてマイナス、奥に倒してプラス。

色んなクルマに乗る度に思うが、加速G減速Gの方向に合わせる、つまり逆にした方が運転感覚と合っていて合理的だと思う。

マツダやBMW、アルファロメオなど「走り」「運転の楽しさ」を重視するメーカーがこぞって加速・減速Gの方向に合わせているのが興味深い。試乗した中でこれとは逆、つまりボルボと同じなのがトヨタやフォルクスワーゲンなど。これも興味深い。

車に「運転の楽しさ」を第一に求める自分のような人間にとっては、このシフトチェンジの方向は大きなマイナスポイントになってしまう。慣れもあるのかもしれないが、つい毎回手元を確認してしまった。

そして、もう一つ。このシフトノブの操作感は(多分意図してそうしているのだろうが)実に重たく、スパンスパンとギアチェンジを繰り返しながらスポーティに走る為のMTのモードでは無いと感じた。恐らくシフトダウンしてエンジンブレーキを効かせる為のもので、言ってみればシフトをPからDやRに入れる時のしっかり感に近い。そうなるとギアを上げたり下げたりして積極的に走る用途には不向きで、確かにこの車の(このグレードの)キャラクターを考えるとそれが妥当かもしれない。

そう、ボルボと言うのはBMWやアルファロメオでは無いのだ。車を積極的に操作してスポーティに「運転を楽しむ」のではなく、優雅にジェントルに「移動を楽しむ」車。

ハンドリング

ハンドリングにもそのキャラクターが現れていた。例えばBMW X3なんかは、

SUVを運転している気がしない!

ほどの安定感とコーナリングを魅せる。車高も車重もXC60より増すにも関わらず、だ。ロールはほぼしない。と言っても過言ではない程に抑えられ、操舵に対して車がクイックに動く。路面の凹凸やインフォメーションは多く、しかしその分乗り心地は硬い。

対してこのXC60という車は対象的で、ワインディングを走れば「SUVである」とすぐに分かる。大げさに振られる訳ではないが、しっかりとロールがあり、車高を感じさせる挙動。しかしその分路面の荒れや衝撃を快適にいなしてくれて乗り心地が良い。

どちらが良いということではなくて完璧に好みの問題である。前項、トランスミッションの所でも述べたようにこのXC60は「運転を楽しむ」クルマではなく、「移動を楽しむ」クルマだ。

自分の好みで言ったら明らかに前者、BMWのまるでSUVとは思えないハンドリングと楽しさに大いに共感する所だが、人によってはこのXC60のほうが腑に落ちる場合も多いと思う。よって、「このクルマが欲しいか?」と問われれば、一個人としての答えは、、

ノー。

しかし、それは好みの問題、このクルマが目指す方向と自分の趣向が合っていないだけで、いち商品、いちプロダクトとして見ればとてもバランスが取れたよい製品だと思う。

カー・オブ・ザ・イヤーを獲るのも納得でした。

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