2017年にフルモデルチェンジを果たし、2代目となったボルボXC60に一日試乗した。
米フォード傘下から中国、吉利汽車傘下へと移って早7年。フォード時代には色んな制約や締め付けが多く、なかなか魅力的な車造りが出来なかったらしいが、吉利に移ってからはかなり自由にやらせてもらっているらしい。その成果がここ数年の躍進に現れているのか、デザインはかなり洗練され存在感が増したと思うし、いまやすっかり高級車メーカーとしての地位を固めつつある。
この新型XC60もプライスレンジが599万円〜884万円で、先代は499万円〜719万円だったからおよそ100万円強の値上げと言うことになる。
先代XC60はボルボ全体の売上の30%程を担ったというから、ボルボとしても主力中の主力に位置づけるモデルのはず。その満を持した2世代目XC60はニューヨークで「2018ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」、日本で「2017カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しているのだそうだ。
大きな期待を持ってさっそく試乗へ!
XC60 T5 AWD Inscription(インスクリプション)のエクステリア・インテリア
XC60のラインナップ
2018年現在、カタログに掲載されているラインナップは以下の7タイプ。
XC60 D4 AWD ディーゼル | Momentum | 5,990,000円 |
R-Design | 6,490,000円 | |
Inscription | 6,790,000円 | |
XC60 T5 AWD ガソリン | Momentum | 5,990,000円 |
Inscription | 6,790,000円 | |
XC60 T6 AWD ガソリン | R-Design | 7,240,000円 |
XC60 T8 Twin Engine AWD ガソリン+モーター | Inscription | 8,840,000円 |
今回試乗したのは真ん中赤字のXC60 T5 AWD Inscription。
パワートレインはディーゼル、ガソリン2タイプ、ガソリン+モーターの4種類。
ディーゼルのD4には3タイプのグレード。Momentumがベースグレードで、Inscriptionがラグジュアリー仕様、R-Designが専用スポーツサスペンションやパドルシフトを装備するスポーティ仕様。
ディーゼルエンジン「D4」のスペックはこちら↓
ガソリンはMomentumとInscriptionはT5エンジン、R-DesignはT6エンジンとなる。
最上位のT8 Twin Engineのスペックは、
T8
こう見ると、各パワートレインとグレードの組み合わせでクルマのキャラクターもかなり変わるだろうなと想像。
タイヤ
足回りも標準18インチから21インチまでと幅広い。
XC60 D4 AWD ディーゼル | Momentum | 18インチ |
R-Design | 19インチ | |
Inscription | ||
XC60 T5 AWD ガソリン | Momentum | 18インチ |
Inscription | 19インチ | |
XC60 T6 AWD ガソリン | R-Design | 21インチ |
XC60 T8 Twin Engine AWD ガソリン+モーター | Inscription | 20インチ |
前述したようにR-Designはスポーツサスペンション仕様なので、特にT6 R-Designは21インチのホイールと合わせてかなり締まった乗り心地になることが予想できる。タイヤは全車非ランフラット。
グレード毎にかなり異なるフィーリングになりそうなXC60だが、
本記事は「T5 AWD Inscription」の試乗記事となります。
ところで、カー・オブ・ザ・イヤーと言うのはどれかひとつのグレードに対してのものなんでしょうか。それともXC60シリーズ全体での受賞??
エクステリア
7人乗り大型SUV、XC90から始まったボルボの新しいデザイン戦略は、その後V90、S90と適用されて、このXC60もひと目で「新しいボルボだ」とわかるスタイルになった。
創業当初からのアイデンティティーであるグリル部からボンネット、サイド、リアへと続く大きく段のついたキャラクターラインは随分控えになって印象が薄くなった。あれこそがボルボらしい造形だと思っていただけにちょっと淋しい気もする。
代わりにボンネットを長めに取って、尚且つオーバーハングを短くするのが最近のボルボのデザイン戦略のようで、XC90もV90もこのXC60もまるで「FRなのか?」と見紛うようなスタイリングに仕上がっている。
実際はFFユニットな訳で、衝突時の衝撃吸収効果が増す等々の安全上メリットが有るにせよ、「FRっぽく見せたい」というデザイン的意図が透けて見える。が、個人的には嫌いじゃないし、むしろその方がカッコイイと思う。言ってみればBMWっぽい。
BMWのように機構的ロングノーズな訳ではなく、単に造形的ロングノーズではあるけれど、まあ良いではないか。その方がカッコイイんだから。
リアは今までの「ボルボらしい」造形をきっちり踏襲しているように見える。何と言ってもリアウィドウ脇まで達するランプと肩部の「段差」。フロントとサイドのこの造形はかなり控え目に抑えてあるものの、リアは健在、と言った所だろうか。ひと目でボルボだと分かる造りである。
そしてこの↓「く」の字に張り出すサイドビュー。
今はなきSAABも似たような造形をしていたのを思い出すが、ボルボらしさを喚起させるポイント。
そしてフロント、真正面。
迫力も感じるし、逆に落ち着きも感じる。なんとも絶妙な顔つき。主張しすぎず、かと言って控えめでも無いグリルとエンブレムのバランス。何と言っても新世代ボルボデザインのアイコンとも言えるT字が横を向いたようなヘッドライトのデザインがカッコイイ。未来的で洗練されている。全幅1,900mmのワイドで力強い佇まいだ。
サイズ
スリーサイズ
- 全長 4,690mm
- 全高 1,660mm
- 全幅 1,900mm
全長、全高はともかく、全幅1,900mmはCX-5の1,840mm、BMW X3の1,890mmを上回るサイズ。CX-5で走っていても道路によっては「窮屈だ」と感じることがあったから、日本の道路事情を考えると少々気を使うかもしれない。とは言え、試乗中はそうした場面に遭遇しなかった。
ホイールベースの2,865mmは実はBMW X3と同じ。しかしX3は全長が4,720mmあるのに対してこちらは4,690mm。いかにオーバーハングが短いかが分かる。
車両重量は1,830kg(サンルーフ付きは1,860kg)、前後重量配分は56:44。FFベース車としては普通か。