今や飛ぶ鳥を落とす勢いのボルボが満を持してリリースしたコンパクトSUV XC40。これが大変な人気の様で、ディーラーによればデビューパッケージを積んだ1stエディションはすでに完売。他グレードは今注文しても納車は1年3ヶ月後(!)になると言う。
これを受けてか、ボルボジャパンはXC40納車を待つまでの間V40シリーズに月々29,900円で乗れる「ブリッジスマボ」なる謎の短期リースプランまで登場させている。無料ならばともかく、新車を買ったのちに毎月3万円弱の費用を払ってV40に乗り、納車を待ちたい人間がどれだけいるのか不明だが、「納車期間の長さ」というデメリットになんとか手を打ちたいボルボの思惑が見て取れる。
そんなXC40は数々の賞を受賞した兄貴分XC60に負けず劣らず2018欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
今最も注目されるコンパクトSUVに試乗!
ボルボXC40ラインナップ
まずはXC40のラインナップから。カタログには全7グレードが記載。
XC40 T4 | 3,890,000円 | |
Momentum | 4,390,000円 | |
XC40 T4 AWD | Momentum | 4,590,000円 |
R-Design | 4,890,000円 | |
Inscription | 4,990,000円 | |
XC40 T5 AWD ガソリン | R-Design | 5,390,000円 |
Inscription | 5,490,000円 |
2018年現在、パワートレインはT4かT5の二種。いずれもがガソリンエンジンでディーゼルのラインナップは無し。排気量は2,000ccで、T4エンジンのチューンアップ版がT5エンジンとなる。
T4スペック
- 最高出力 140kW(4,700rpm)
- 最大トルク 300Nm(1,400−4,000rpm)
- 燃費 記載なし
T5スペック
- 最高出力 185kW(5,500rpm)
- 最大トルク 350Nm(1,800−4,800rpm)
- 燃費 12.4km/L
まずはT5から生産・流通しているらしく、T4の燃費や環境情報等はカタログ記載なし。
試乗車はXC40 T5 AWD R-Design「1st Edition」
試乗車はT5 AWD R-Designの特別仕様車「1st Edition」で、通常539万円のT5 R-Designに以下6つの1st Edition特別装備がついた車両。
- harman/kardonプレミアムサウンド・オーディオシステム(¥100,000)
- 電動パノラマサンルーフ(¥206,000)
- R-Design専用20インチホイール
- ワイヤレススマートフォンチャージ(Qi)(¥28,000)
- パワーテールゲート(¥58,000)
- フロント8ウェイパワーシート
カッコ内は単一のオプション価格。これらがついてお値段は+20万円の559万円だから、一応「お買い得デビューパッケージ」といったところか。
XC40試乗。T5 AWD R-designのエクステリア・インテリア
ではでは、早速エクステリアからチェック。
エクステリア
クリスタルホワイトパール×ブラックルーフ
試乗車カラーはクリスタルホワイトパール×ルーフがブラックの2トーンカラー仕様。ちなみにこのブラックルーフの2トーンはT4/T5のR-Design専用パターン。
カタログや海外試乗情報などの事前情報では、ほぼ100%このブラックルーフの2トーン仕様しか見なかったので、てっきり全グレードこの仕様かと思っていた。が、他グレードは基本的に1トーンカラーで、T4とT4 AWDのMomentumに限り「ホワイトルーフ」の2トーン仕様がオプションで用意されるらしい。
XC40のキャラクター的にはよりポップな印象の2トーン仕様がマッチする気もするが、1トーンの方も落ち着いていてこれはこれでカッコいい。スポーツ仕様なR-Designだと自動的に2トーンになってしまうのは残念。せめて選べたら良かったのに。
2トーン仕様はCピラー肩部途中でカラーが入れ替わる。自動的にブラックルーフが適用されるR-Designだが、赤(フュージョンレッドメタリック)や青(バースティングブルーメタリック)を選択すればより攻撃的でスポーティな印象になりそう。どうも白×黒の組み合わせはスター・ウォーズのストームトルーパーのようで、スポーティというよりは、ロボット感、ガジェット感が強い。
サイズ
スリーサイズは
- 全長 4,425mm
- 全幅 1,875mm
- 全高 1,660mm
全高1,660mmは兄貴分のXC60と同じ。全幅・全長が小さくなっている分高さ方向が強調されたスタイルで、これが全体的な「ポップさ」に繋がっている。
ホイールベースは2,700mmで、BMW X1の2,670mmよりも長い。しかしX1が全長4,455mmあるのに対しXC40は4,425mmで全長自体は短いことから、前後オーバーハングを短くとったスタイリングであることがわかる。これはXC60とBMW X3のサイズ比にも当てはまる構図で、最近のボルボのデザイン戦略がよく現れているポイント。ちなみにマツダCX-5とはホイールベースが完全に同じ。
全幅も1,875mmで、BMW X1(1,820mm)マツダCX-5(1,840mm)と、サイズ的にライバルとなるであろう他車と比べてもかなりワイド。CX-5の全幅でも道路によってはかなり窮屈に感じたから、XC40ならば尚更日本の道路事情では厳しい場面も多くありそう。
実際に車に対面してみると思ったよりも大きく迫力のある佇まいに驚かされた。
スタイリング
ボルボのXCシリーズの中では今の所エントリーモデルとなるXC40。当然若年層をターゲットにしているだけあって、要所要所の造り込みや面構成もハッキリクッキリ若々しい印象。フロントフェイスも洗練というよりは「主張」を押し出したような雰囲気で、直線基調の構成が印象的。XC60は所々に曲線的な美しさを盛り込んだ大人っぽいデザインが印象的だったが、XC40はパキっパキっとハッキリした顔つき。
特に、ほぼ水平にあしらわれたグリル上端〜ヘッドライト上端〜サイドへと流れていくボンネットとボディの境目のラインが特徴的。クッキリと引かれたアイラインのようで、これが主張の強い顔つきを際立たせている印象。
多くのクルマがボンネット上部にこのラインを引っ張るのに対し、ボディ側面方向に引っ張っていくのは斬新。このラインの引き方で大きく顔つきの印象が変わってくるだけに、XC40のキャラクターに合った「らしい」処理に感じられる。
横T字のポジションライトも昼はデイライトとして機能するようで、これが灯るとまた印象も一段と良くなる。
サイドから見てもこの通り。このラインがうまく作用して眼光鋭い若々しい印象を与えることに成功している。特にこのサイドビューは素直にカッコイイ。先端の立体的な造形も◎
いかにもタフで「あごが強そう」な仕上がり。
対してリアはボルボならではの「L字」型テールランプと相まって幾分柔らかい印象をもつ。ボディとリア・サイドバンパーの境目、2トーンが入れ替わるCピラー肩部のライン、リアウィンドウなど、ホワイトボディは黒いパーツとの対比が効いて直線的でハッキリした面構成に見える。それだけに、テールランプの緩やかな曲線、テールゲートの僅かな盛り上がりとお尻の張り出し、フェンダー周りの隆起等々、「曲面・曲線」部が効果的に生きてくるように感じられる。
フロントの「剛」とリアの「柔」、見れば見るほど実によくできたデザイン。ことスタイリングにおいてはグッドデザイン賞をもらうのも納得。という感じ。
そして遊び心あふれる素敵なポイントはフロント左部のみに付けられた小さなスウェーデン国旗。
硬めのゴムのような素材だが割としっかり取り付けられており、そう簡単に外れたりはしなそう。
スウェーデンのナショナルブランドを標榜するボルボのこだわり。確かXC60ではインテリア、運転席肩部に同じく小さなスウェーデン国旗が取り付けられていたが、XC40は思い切ってエクステリアに持ってきた。なんともオシャレで◎