レクサス
新型LS 500
LEXUSブースの目玉はフルモデルチェンジとなった新LS。かなりデカく、と言うよりは長くなった印象でした。ポルシェ・パナメーラを彷彿とさせるシルエットですね。もうセダンというよりツーリング、グランクーペと言った趣です。
全長は5,235mm、ホイールベースも3,125mmと拡大。な、ながい。。
展示車両はハイブリットのLS 500h、AWDの最上位モデルの車両価格は1,680万円ほど。オプションを盛ればもう少し上がるでしょうが、それでも行って2,000万円弱でしょうか。
ライバルとなるBMW 7シリーズの最上位モデルは2,400万円、audi A8が2,240万円、ベンツSクラスが3,300万円(!)と、軒並み2,000万円オーバーと言う事を考えるとお買い得なのかもしれないけど・・。
グリルがどんどん大きくなっている気が・・・。でもお陰でかなり威圧感と迫力のある顔つきになりました。後ろに付かれたら瞬時に道を譲りたくなる顔ですね。
さすが市販車だけあって近くで見ればみるほどよく造り込まれています。これがコンセプトカーには無いカッコよさを生むんだよなぁ。
コンセプトカーはどうしても作り物感が拭えない。各ブースを回って感じたのはコンセプトカーより市販車の方がより魅力的だと言うこと。考えて吟味して、空力も機能性も使い勝手もスタイリングも練りに練られた結果の市販車と、未来のビジョンを示すコンセプトカーでは役割が違うけれど、やはり機能、性能をとことん考え抜いた市販モデルは美しい。
速く走ることだけを追い求めたF1マシンが究極に美しいのと同じように↓
LC 500
こちらも市販車のLC 500。 V8、5Lエンジンを積むモンスターマシン。最高出力477ps、0−100km加速4.4秒。車両本体価格は高くても1,400万円!
これもライバルのプレミアムクーペに比べたらだいぶリーズナブル。NSXでさえ2,000万円を超えるのだ。
うむ、どう見てもカッコイイ。どこをどう見てもセクシー。
いやはやレクサスもだいぶ垢抜けたもんだ。初期は野暮ったさが残り、少し前はグリルがひとり歩きするような印象があったけど、最新のモデルはグリルの派手さにボディが追いついて来たというか・・。クルマ全体としてプロポーション、細部のデザインが丁寧に造り込まれた感じだ。
一度、このLC 500を街で見たことがあるけど、その迫力とスタイリングに目が釘付けに。例えばフェラーリGT4 Lussoなんかと同じくらいの佇まい、オーラを放つ。 んー美しい。。。
こういうクルマをべたべた触ったり、乗り込んだり、間近で思う存分楽しめるのがモーターショーの醍醐味。プレビューデーという事もあって混雑具合にゆとりはあったけど、LC 500の回りは常に人だかり。運転席に乗り込む順番待ちが出来ていました。
しかしトヨタという会社はヴィッツ、カローラみたいな大衆車もそれ相応に造るし、こんなプレミアムクーペも相応に造れちゃうんだからまあ立派な会社ですね。

トヨタ
TJクルーザー
トヨタブースにて最も気になったクルマがこちら↓
既存モデル、FJクルーザーの兄弟車となる「TJクルーザー」。 公式発表は無いですが、市販されるのではないでしょうか。という印象を持つほど完成に近い出来栄え。各部の造り込みも最終段階で、このまま市販されても全く不思議じゃない佇まいでした。
直線基調のカクカクっとした面構成。嫌いじゃないです。レクサスのような局面と曲線を多用した美しさもあれば、こういう無骨な美しさもありますよね。有りだと思います。
インテリアもほぼ完成形でしょうか。現実的な内装に見えます。手前、助手席側にあるのはサーフボードです。アウトドアに特化したSUV。
このジャンルを得意とする三菱の各車、特にデリカD:5とは真っ向からぶつかりそうですね。 問題はどんなパワートレインを積むか。ですかね。 CH-Rのダウンサイジングガソリンターボが貧弱過ぎだったので、見た目を裏切らずパワフルなエンジンを積んで欲しいものです。
新センチュリー
国会議員御用達のセンチュリー。2代目がデビューした1997年から20年ぶりのフルモデルチェンジです。
レクサスに搭載されるハイブリットシステムエンジン、最新のTNGAプラットフォーム、数々の安全装備、そして変わらずライン生産ではない手作り生産にて3代目センチュリーがデビューしました。
にしても20年ぶりのフルモデルチェンジってのはすごいですね。現行2代目も古さを感じさせないデザインでしたし、3代目もそのエッセンスを見事に継承した仕上がりです。
こういうキープコンセプトのクルマが大衆車にもっと増えればいいのに、あの手この手でプロポーションも名前も変わるクルマが多い気がします。
BMW 3シリーズ、VW ゴルフ、audi A3など、ひたすらキープコンセプトでブラッシュアップを重ねる文化を日本車も参考にしたいものですね。
ところで隣のダイハツブースの説明員さんによると、担当デザイナーが仕事をやり遂げて亡くなったんだそう。遺作となった3代目センチュリー。次のモデルチェンジも早くて10年後、20年後でしょう。後世に語り継がれる名車が遺作だなんて。素敵ですね。
トヨタまとめ
FCV(燃料電池車)のプレミアムサルーン「TOYOTA FINE-Comfort Ride」↓
や、「人を理解する技術と自動運転やエージェント技術により、新しいFun to Dribeをもたらす、TOYOTA Concept-愛i」 というコンセプトシリーズがメインステージで展開されていましたが・・・正直飛躍しすぎてパッとせず。
BMWやマツダのように実現可能な、わりとすぐ近くにある未来のコンセプト、というより「いつか実現したい未来」という趣のコンセプトで、技術的裏付けが何も無くてもとりあえずカタチにしてショーになればイイわけで、言ったもん勝ち。のような印象を持ってしまった。
あまりに先の話過ぎて想像の粋を出ず、現実感に乏しい。 もう少し手前の未来の話だと現実味を伴って引き込まれるのだが・・・。
この辺りはホンダも然り↓
コンセプトと共に車自体の造り込みが甘すぎて、アニメの世界から飛び出たような、2次元を無理やり3次元に起こしたような、なんとも嘘っぽい雰囲気が漂う。
ガラス部も明らかにアクリルと分かる出来栄えで、3Dプリンターで起こしたようなホイールと合わさっておもちゃ感がすごい。 もう少し現実感を持って迫ってくるコンセプトだと面白いのだけれど。
ダイハツ
実は今回のモーターショーで唯一、市販化されたら乗りたい!欲しい!と感じたコンセプトカーがあった。もちろん他にも乗ってみたいクルマはあったけど、それはあまりにも値が張りすぎていたり、実用に欠けたりで実現に乏しかったりする。
そんな中、「カッコイイし、かわいいし、楽しそう」で、現実的に使い勝手が良さそうな、真面目に欲しいコンセプトカーがあった。
それがこちら↓
DN TREC
ダイハツ「DNトレック」
主力が軽自動車、最大でも1,000ccエンジン。という現ダイハツラインナップに対してこのDNトレックは1,200ccハイブリットを想定。5ナンバーサイズのコンパクトSUV。

軽よりは大きく、しかしミドルサイズSUVよりは小さく。
かつて三菱にパジェロジュニアという車種があったけど、ちょうどあれくらいの大きさだろうか。意外にも現行モデルでこの手のクルマは少ない。
最近、軽自動車クラスでSUVライクなハスラーのようなクルマがトレンドになったけど、一歩進んで、1,000cc〜1,500ccクラスの小型SUVというジャンルが2018年〜2019年のトレンドになるんじゃないか。 そんな予感をさせる魅力的なサイズ、プロポーション、スタイリングだった。
ちょうどスズキブースでは間もなく発売するコンパクトクロスオーバー「X BEE(クロスビー)」を大々的に展示していた↓
明らかに普通自動車版ハスラー。
こちらは1,000ccターボ+マイルドハイブリッドという仕様。 いまいち代表車種が無い「小型SUV」クラスのスタンダードとなるべく先手を打ったスズキ。
対してダイハツもこのクラスの可能性を感じてか、意欲的なコンセプトカー、DNトレックを出してきた。
いや、素直にカッコイイ。
ちょうど現場に居合わせた、インテリア担当デザイナーと話をすることが出来、名言は避けたものの早ければ2018年中に市販化するのでは?という印象を持った。
石鹸やジェリービーンズにタイヤを付けたような、余計なショルダーライン、キャラクターラインを入れないツルンとしたエクステリアデザインを目指したようで、言われてみればその通り。
足回りの武骨さ、ゴツさと、ボディのツルンとした形状が好対照で、これがカッコ可愛いさの要因でしょう。
タイヤもホイール形状に合わせてダンロップに開発してもらったという「コンセプトタイヤ」で、このタイヤをそのまま市販車に履かせることは難しそうだけど、実際に道路を走れるタイヤだそう。なるほど、気合の入れ方が違う。
お尻周りも、可愛さとカッコよさが共存しているような実に「いい感じの」スタイリングで、どこをどう見てもほぼ完成の匂いがする。
いや、これ売れるでしょう!値段は150万円〜200万円?、燃費はハイブリットだから25km/L以上?、1,200ccなら維持費も安い。
日本はもとより、道の狭いヨーロッパでもいけそう。 是非このまま販売して欲しい!!
DN COMPAGNO
こちらも面白いコンセプトのDNコンパーノ。1963年にダイハツが初めて販売したクルマ「コンパーノ」↓
このクルマの進化系、未来型コンセプト。
フロントガラスを立ち上げ気味に、風を後ろに受け流すよりも風に向かっていく印象を持たせるサイドビュー。この辺はかつてのアメリカ車によく見られたスタイルですね。 懐かしさと新しさが同居するプロポーションです。
どことなく可愛いんだけど、落ち着いている、キュートなお婆ちゃん。そんな感じのクルマ。 これも、、、嫌いじゃない。 旧車へのオマージュというか、原点回帰というか、市販するかは別としてコンセプトカーとしては面白い試み。
覚えている限り、旧車インスパイア系のコンセプトカーはこのコンパーノとVWのI.D BUZZだけ。↓
ダイハツまとめ
隣のトヨタブースが良くも悪くも未来に行き過ぎているのに対して、地に足の着いたというか、ダイハツらしく今出来ることからちょっとだけ前に進んで。というコンセプトがとても良い印象だった。
どのコンセプトカーも来年再来年には市販化しそうな出来栄えで、程よい新しさもあった。
ダイハツいうと今のところ軽自動車のイメージしか無いのだけれど、一歩進んで1,000cc〜1,500ccのクラスでも面白いクルマを造れるんじゃないか、そんなポジティブな印象。
DNトレックはすぐにでも発売して欲しい代物だし、やっぱり手の届く小さいクルマって楽しいよな〜と感じさせるブースでした。
番外編
他にも興味深い展示をいくつかご紹介。 まずはスズキ二輪ブースにあったコンセプトカー?バイク?
「MWC-4」
前足が完全にエイリアンですが、バイクらしいメカニカル感がたまらない。
顔つきが完全にエイリアンですが、細部までコンセプトとは思えぬ仕上がりです。これは実際に走るのでしょうか?
F1マシン
ホンダブースではインディ500を制覇した佐藤琢磨のインディカーが展示されていましたが、F1マシンに限ると2台のみ。 ルノーのR.S17と↓
メルセデスのPETRONAS W08↓
F1マシンてのはどうしてこうも美しいのでしょう。。 全てが機能、空力を計算し尽くされたもので、装飾的なものは一切ないはずなのに、ものすごい流麗で美しい面構成。。 パーツひとつひとつを見てもため息の出るカッコよさ↓
とことん機能を突き詰めたものは美しくなる。ということでしょうか。 毎度毎度モーターショーに足を運ぶ度に、どんな装飾を施したコンセプトカーよりも美しいF1マシンについ目を奪われてしまいます。
HRCの展示
ホンダ・レーシング「HRC」のブースではレーシングカーやmotoGPマシンと並んで写真撮影コーナーがありました。これがまたよく出来た企画で、あらかじめかなりの角度にバンク付けされたマシンが設置されており、そこにまたがるだけでコーナー攻め攻めの写真が撮れる「あなたもGPレーサー!」的なものでした。
外国からのお客さんを中心に長蛇の列で大人気。よく見ると地面にプリントされたサーキットもスピード感を演出するためにちょっと流れてるんですよね。芸が細かい!!
国土交通省の展示
最後に異色の展示。 国土交通省のブースに展示されていたのは何と衝突実験でメタメタになったCH-R。華々しい自動車をPRするモーターショーで衝突してぶっ壊れたクルマを展示する大胆さ。
正面衝突じゃなくオフセット衝突でしょうか。右前がメッタメタに壊れています。普段こんな状態のクルマなんてめったに見ることがないので、これはこれで随分見てしまいました。 車内にはお馴染みの彼(彼女?)が。
幾千もの衝突事故を生身の体で検証し続ける、あの方です。 エアバックもフルオープン状態ですね。
しかしかなりの速度のオフセット衝突だったであろうに、キャビンは完全に原型を留めていますね。ダッシュボードはヒビひとつ入っていないように見えます。 それだけ最近のクルマは衝突安全性に優れていますよ。という展示なんでしょうが、なんとも大胆ですね。
次回は是非とも車種を増やして展示して頂きたい。
まとめ。プレビューデーは満足度高し。
12時半〜18時までのプレビューデーでしたが、時間はあっという間に過ぎ、気づけば「もう終わりか!!」という時間に。
通常券の約2倍するプレビューデーチケットですが、人出は概ね上の写真程度です。関係者や招待客へ公開するオフィシャルデーも兼ねているので、一般客よりも仕事関係の人が多い印象でした。
「空いている」とは言い切れませんが、決して混みすぎてもいません。 隅々までじっくり見れたと思います。
あとから振り返ってみると、「あの写真も撮れば良かった、この写真も撮れば良かった、こんな話を聞いてみれば良かった」と早速もう一度行きたくなってしまいました。

ほんと、モーターショーっていいもんですね。