前愛車BMW 118d(F20)から満を持しての乗り換えとなったテスラモデル3。納車から約6ヶ月経った所で素人目線の本気レビューを。
事の発端は去年の秋頃。個人間カーシェアリングサイトのAnycaでモデル3ロングレンジに24時間試乗したのが始まりでした。
BMW 118dが購入から満4年を過ぎ、5年目を迎えるにあたって次期愛車候補にのんびりと思いを巡らせていた頃。

いや、メガーヌも面白そう。逆にGLCとか?
なんて、あれこれ考えていたところ。いや、でも先進性で言ったらテスラだよな〜。
モデル3はどうよ!?
と、ふと。
モデル3購入までのいきさつ。「テスラは乗ったら終わり」は本当だった。
Anycaでモデル3に初乗り。まるで世界が違うっっ!!
いやいや、賃貸だから家充電つけれないし、近くにスーパーチャージャーも無いし、調べて見れも近所には貧弱CHAdeMOしか無いし・・・
ハードモード確定でしょうが!!
しかもセダンはどうも好きになれないし、乗るならハッチバックがツーリングボディかSUVでしょう。
とセルフツッコミしつつ、、ま、でも乗るだけ乗ってみましょうよ。ってなことで東京都内までモデル3をシェアさせて頂きに行ったわけですよ。
夕方18時ころから翌日の18時ころまで一晩300km程、高速、一般道、奥多摩の方のワインディング走ったりと色々試させてもらった結果・・・
なにこれ欲しい。
欲しすぎる。
なんか、今までのクルマとは全く違う世界。そりゃ3シリーズもCクラスもV60もどれも良かったですけどね、でも基本的に同じ世界のクルマのテイスト違いみたいなもんで、そんなに世界観は大きくは変わらない中で、モデル3は今まで味わった事の無い全くの別世界でした。
いや、まず分かりやすい所でエクステリア、インテリア。特にインテリアはこれまでのクルマにはない洗練度で15インチモニタードーン!以上!
みたいなシンプルさだし、ちょうどホワイトインテリアだったこともあってものすごく未来的な洗練された空間。
そして走り。重心の低さがものすごい。よって安定感がものすごい。にも関わらず回頭性がものすごくいい。
本来ならば相反する要素が同居している不思議で魅力的な乗り心地。タイムラグの無い圧倒的な加速。
テスラが、というよりBEVであることの特徴も多々あったとは思うものの今まで味わった事のない全く新しい世界にころっとやられたのでした。
ポチるタイミングを図る。
このAnycaでの試乗以降、次期愛車選びの自由気ままな旅は唐突に終わりを迎え、頭の中は「いつモデル3を買うか」でいっぱいに。
と言うのもテスラは他の自動車メーカーと違って、マイナーチェンジや年次改良のような概念がなく、ハードウェアのアップデートも思い立ったが吉日の如くかなり頻繁に行うことで知られている。
ちょうどその2021年の秋ごろから、15インチのインフォテイメントモニターを司るCPUがIntelからAMD Ryzenに切り替わって高速化される、とか、リアのガラスも二重になる、とか、ワイパーの融雪機能が追加される等々。様々な情報が出始めていた。
加えてテスラには「メーカー希望小売価格」のような概念もなく、時価と言って差し支え無いほど頻繁に価格の改定を行うことでも有名。
ちょうど2021年の春頃には一気に最大で150万円もの値下げを敢行し、界隈に衝撃を与えたのは記憶に新しかった。以降はジワリジワリと値上げを続けており、早ければ早いほどいいものの、ハードウェアのアップデートも余さず取り込みたい。という部分のせめぎ合いとどう折り合うかがポイントだった。
というのも、Anyca試乗の際にナビのマップ表示や機能の切り替え等々の挙動の遅さ、モッサリ感が唯一気になった部分で、CPUがAMDRyzen化を待つのは個人的に必須事項であった。
というわけで、Ryzenにアップデートされたモデル3がほぼ間違いなく納車されるであろう一番早いタイミングを見越してポチる。という結論に達し、諸々の情報も踏まえ、切りよく縁起よく2022年元旦にスマホよりポチッと注文ボタンを押したのでした。
購入から納車まで。ここも抜群のテスラスタイル。
クルマを「ポチる」初の体験。
クルマをスマホでポチッと注文するのも考えてみれば初めての経験だったが、こういう所もいちいち新しい世界を見せてくれるのがテスラの素晴らしい所で好きな所。
注文の時点では手付金?手数料?的な15,000円をクレジットカード請求されるのみ。
注文後しばらくして、当時は存在した青山店の担当者から一度だけ「購入ありがとうございます。今後の流れは〜」的な挨拶程度の電話があっただけで、結局納車当日までの間に電話で話したのはこの一回きり。
後述の納車方法も含め、人付き合いが得意ではなく口下手で交渉事が苦手な自分のような人間にはバッチリハマる素晴らしい体験である。
ディーラーに赴いて、足元を見たり見られたりしながら価格交渉をしたり、いらぬオプションを勧められたり断ったりしながらやっとこさ購入に至るこれまでのクルマの買い方は逆に一体何だったんだ?と思わせるスマートなスタイル。
値下げ交渉等々、担当営業マンの裁量で便宜を図ってもらう様な事は一切できずに、時々の変動はあるにせよ価格も一定。逆にものすごくフェアであると思う。潔いではないか!
いざ納車!ものの数分で終了。
以降、時々の案内メールは何通かあったと思うが、しばらくして納車準備書類がなんの前触れもなく届き、記入捺印し必要なものを添付して返送。特に「書類届きました」的連絡もなし。
進捗状況はWEB上マイアカウント内で都度確認。そんなこんなで1〜2ヶ月するとようやく車台番号が表示された。上海工場で生産が完了し、その生産された一台のモデル3が誰それの注文分である。という事が示された結果としてアカウントに車台番号が表示!
そこから数週間後には納車場所、日時が表示され、いよいよ感が高まってくる。
納車は有明デリバリーセンター。自宅からはそこそこの距離感でもちろん希望すれば配送も行ってくれるが、費用がかかるし、何よりテスラ流の納車を体験したかったので迷わず有明受け取りを選択。
当日、公共交通機関を乗り継ぎ一日ががりで有明に到着。時間よりだいぶ早く到着してしまい、ウズウズわくわくしながら時間を潰す。
ようやく定刻の20分ほど前になったところで待ちきれず恐る恐るカウンターへ。
ちなみに「デリバリーセンター」とは言うものの、実際の店舗空間はかなり簡素な作りで、ショッピングモールの端っこのトイレ脇に「高速バスの受付カウンターか?」くらいのブースがあるのみ。
名前を伝えて、いくつか確認のやり取りをし、車検証を受け取り、電子サインをし、「アプリアクティベートしますね〜」でアクティベート完了で終了。
「操作方法等は大丈夫そうですか??」
と聞かれ「大丈夫だと思います」と答えると、では行ってらっしゃい。とすぐ脇の駐車場直結出入り口へと促された。ここまで5分も経っていないのでは???
駐車場へ出るとそこには高速バス、もとい、納車を待つ大勢のモデル3が駐車場ワンフロア分を専有していた。
その中から自分の車両を色やナンバーを頼りに探す。もしくは、アプリを開いてヘッドライトを光らせたりホーンを鳴らして見つけだす。
そうして待ち焦がれた我が愛車と初対面!!
注文から納車までのプロセスそのすべてで新体験であったが最も印象的だったのが、この納車時。無駄がなく合理的で全っっく素晴らしいと思った。
納車「式」よろしくスタッフ総出で花束やら記念品やら写真撮影やらで「儀式化」する日本のディーラー方式はそれを求める顧客もいるだろうし良いのだろう。
が、個人的にどちらが素晴らしい体験だったかと言えば明らかにテスラスタイル。特に自分の様に恭しく接客されることに喜びどころか苦痛を感じてしまうタイプの人間にとっては「あ〜!!スッキリ〜〜!」感がものすごい。
この瞬間に自分は従来のクルマを買ったのではなく、なんか大きめの、走る機能も付いたIT機器を買ったのだと思い知る。そう、手続きの流れとかかった時間で言えば、パソコンかスマホを買ったような感覚。
※ちなみに現在はカウンターでの手続きそのものもなくなり、そのまま駐車場に直行して納車スタイルになったらしい。完全なコンタクトレス。素晴らしい。
いざモデル3で街へ。納車後半年のレビュー。
乗り味は抜群に素晴らしい。
Anyca試乗時に感じた点と重複するが、やはり乗り込んで発進後の第一印象はその圧倒的低重心からくる抜群の安定感。「地面に吸い付くような」という形容がここまで見事にハマるクルマを運転したことがない。
そして最重量物であるバッテリーは車両の最下部、且つホイールベース内に収まっているので回頭性は信じられないほどいい。

このズッシリした安定感と抜群の回頭性。本来なかなか同居するのが難しいはずの特徴を両方兼ね備えているのがこのクルマ最大の魅力である。
現在はアップデートにより若干その効力が弱められてしまった回生ブレーキも納車当時はギュンギュンに強めで、こちらもグーンっと地面に沈み込むような強い制動。ブレーキペダルを全く踏まずに一日を過ごすことも(当時は)充分に可能。
逆にアクセルオンではこちらが想定するよりも明らかに素早く飛び出していく「タイムラグのなさ」は魅惑的。
なんだか「意のままに」操る感がものすごく強くて、なおかつ「操作→クルマが動く」の時差が極めて少ない感覚。自分の意志と直結しているような、そんな気持ち良さ。
「運転以外」のプロセスも魅力
モデル3と日常を共にすればするほど感じる良点は、運転の前と後、すなわち乗り込んで→走り出して→止まって→降りる、この一連の流れが実に簡略化されている点。
まずそもそも鍵という物がなくて済むのが魅力なのは言わずもがな。
アプリをインストールしたスマホを携帯してドアノブを掴めばロック解除され、ブレーキペダルを踏んだ瞬間にシステムONとなりシートはドライビングポジションへ移動。そのままギアをDに入れてアクセルを踏めば発車。
降りる際はギアをPに入れ(忘れても自動でPにしてくれる)、シートベルトを外せばシートがイージーエントリーポジションに移動。
スマホをポケットに、クルマを降りて離れれば自動的にロック。
これまでクルマに乗る、走り出す、降りる際に当たり前にしていた作業が大幅に減っている。その心理的・物理的な負担低減。このメリットは日常の中でジワジワと効いてくる印象で、クルマを使用するのがものすごくラクで気持ちいい。
こういう部分もテスラに「クルマ以外のなにか」を感じるポイントだと思う。
ハードな充電環境は意外と平気。
ちなみに現在賃貸アパート暮らしのため、自宅充電は無し。最寄りスーパーチャージャーまでは片道1.5時間の距離、まともな急速充電器は隣街。というハードモードでモデル3を運用しているものの、特に問題なく過ごせている。
とはいえ不自由感は若干あり、、近所にまともな急速充電器が設置されるのを首を長くして待っている状況。
特に、電費が悪化する初めての冬が未体験なだけにこれからが正念場である気もする。
このあたりは自宅充電が出来るか否かで、運用の難易度が大きく変わってくることを痛感。自宅充電があればほぼ何も心配することなく運用していけると思うが、逆に自分のようなハードモードでも思ったよりはストレスを感じずに過ごせることも事実ではある。
クルマを再発明。テスラモデル3。
いやはや、なんとも恐ろしいプロダクトである。
クルマ2.0、クルマ再発明とでも言おうか。クルマの挙動からインテリアから何から全てが新しい世界というか。
EVに出来ること、EVの魅力、EVらしい走りを最大限に高めました!
みたいな尖った世界。
「エンジン車からの乗り換えでも違和感無い様に、エンジン車っぽい挙動を〜」とかそういう優しい、マイルドな世界も有りっちゃ有り。
が、そういう思想とは全く逆で「とにかくEVの利点を最大限に尖らせました!」みたいな一点もマイルド感が無いクルマがテスラです。はい。
はっきり言ってめっちゃくちゃ面白いですね。グリップ感もものすごいし、直線安定性もあるし、ギュンギュンに曲がるし、すんごいパワー感だし。
誰かも言ってましたが、「運転が楽しい」というより「運転が面白い」ような、そんな感覚。
多分、次もブラッシュアップされたモデル3なりテスラの他モデルになりそうな予感。それくらい斬新で刺激的な世界。
かなり中毒性高めです!