先日近隣のディーラーにお邪魔して噂のアルファロメオ「GIULIA」を試乗してきました。
初めてのアルファロメオ。初めてのジュリア。あいにく試乗時間は短く、そのポテンシャルの全てを体感するまでには至りませんでしたが、しかしその魅惑的な一端を垣間見てすっかり好きになってしまいました。
なんてったって名前がイイ・・。ジュリア。恍惚と愛でたくなるようなプロポーションと刺激的な走り。ドイツ車の洗練とはまた違った、官能的、妖艶なイタリア車。なんだかドキドキするようなクルマでした。
アルファロメオ ジュリア・ヴェローチェに試乗!
ジュリアのグレード展開は
- GIULIA
- GIULIA SUPER
- GIULIA VELOCE
- GIULIA QUADRIFOGLIO
という4グレード構成。
GIULIA | GIULIA SUPER | GIULIA VELOCE | GIULIA QUADRIFOGLIO | |
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価格 | ¥4,460,000 | ¥5,430,000 | ¥5,870,000 | ¥11,320,000 |
エンジン | 1,995cc 直列4気筒ツインスクロールターボ | 2,891cc V型6気筒ツインターボ |
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最高出力 | 147kw/4,500rpm | 206kw/5,250rpm | 375kw/6,500rpm | |
最大トルク | 330Nm/1,750rpm | 400Nm/2,250rpm | 600Nm/2,550rpm | |
燃費 | 13.6km/L | 12.0km/L | ー | |
駆動方式 | 後輪駆動 |
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トランスミッション | 8速AT |
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タイヤサイズ | 前後225/50R17 | 前225/45R18 後255/40R18 | 前245/35ZR19 後285/30ZR19 |
素のGIULIAと、よりラグジュアリーなSUPER、スポーツ寄りのVELOCE、ハイパフォーマンスモデルのQUADRIFOGLIO。
BMWで言う所の、素モデル、Luxury、Mスポーツ、Mパフォーマンスモデル、と言った具合でしょうか。お値段的にも大体そんな感じ。クアドリフォリオは1,100万円オーバー。BMWのM3は約1,200万円ほどしますね。
エンジンはクアドリフォリオにはフェラーリと共同開発したというV6ツインターボ、それ以外の3グレードには直列4気筒ツインスクロールターボという2基構成です。SUPERもVELOCEも同じエンジンですが、VELOCEだけ出力とトルクがチューンUPされています。
ジュリア・スーパー
店内に展示されていたのはジュリア・スーパー。アルファロメオの代名詞とも言うべきこの魅惑のアルファレッドに身を包んだ姿はホントに官能的で美しい・・。なんでこうもイタリア車と言うのは赤が似合うのでしょうか。単にコーポレートカラーが赤だから、という理由以上の何かがあるような気がしてなりません。
ドイツ車は落ち着きと品格と洗練を併せ持った、それはそれで高い魅力にあふれていますが、アルファロメオはもっと刺激的で遊心に溢れていて情熱的。そんな印象がこのアルファレッドやスタイリングから滲み出ている。
インテリアを覗く
ジュリアのインテリアは刺激的な外観とは好対照に黒を基調とした落ち着いた雰囲気。かと思いきや見れば見るほどその落ち着きの中に走りへの情熱が見え隠れするような、なんだかドキドキするような造り。アルファロメオのロゴも色彩を排しているものの、ギラギラと輝くシルバー調でしっかりと存在を主張しているし、上下に長い大きなパドルシフトが走りへのこだわりを喚起させる。
唯一、SUPERにだけ装備されるウォールナットのパネルがラグジュアリー感を演出しているものの、その他の要素はどれもこれも「走り」を連想させる造形。
ジュリア・ヴェローチェ試乗!
エクステリア
さあそしていざ試乗!
試乗車はヴェローチェと最高級ハイパフォーマンスモデルのクアドリフォリオの2車種あった様で、
「どちらになさいますか?」と。

BMWで言うところのMスポーツかMパフォーマンスモデルか。クアドリフォリオはフェラーリと共同開発のV63,000ccエンジンを積み、510馬力を誇る超ハイスペックモデル。お値段1,100万円!
そりゃ、クアドリフォリオの方がスペシャルでイイに決まっている・・・が。
経済的にも「頑張れば手が届く」レベルのクルマの方がある意味現実的で楽しいのだ。
お値段1,100万円はやっぱりちょっと行き過ぎだし、サーキットならまだしも市街地の公道を試乗するにはあまりにもオーバースペック。
と、いう訳でヴェローチェを試乗。SUPERよりもスポーティーな外観、ホイールもインチアップし、前後に専用スポーツダンパーを装備してより攻撃的なエクステリアに。店内で見ると意外とツルンとした印象のフロントフェイスだったけれど、光が当たると意外とムキムキの面構成をしていることに気付く。
そして特徴的なのはサイドからリアにかけての造形↓
BMWやAUDIならば間違いなくキャラクターラインのひとつでも入れてパキッとした緊張感を演出するところだろうが、ジュリアにはそれが無い。緩やかに続く曲面をそのスタイリングの基本要素として、全体的に丸みを帯びた、まさしく「ジュリア」の名に相応しい女性的な印象を醸し出している。
その官能的にさえ感じる女性的丸みと、対象的なFR故のロングノーズ・ショートキャビンの力強いプロポーション。「パワフルでエネルギッシュで情熱的な女性」を連想させるスタイリング。
大げさに言えば、クルマという「モノ」を越えてなんだか人格が宿っているような・・・まさに魅惑のオーラーを発するクルマ。それがアルファロメオジュリアの印象。

思わずウットリしてしまう。
インテリア
ヴェローチェ標準装備のスポーツレザーシートは
- ブラック
- タン
- レッド
の3色展開。SUPERのウォールナットパネルに代わってアルミパネルが装備され、よりクールでスポーティーな印象。コックピットよろしく、ドライバー中心のレイアウトがソソる。
特にエンジンSTART/STOPボタンがステアリングに装備されている辺り、ドライバー心をくすぐると言うか、分かっているというか。ここにボタンがあるからと言ってどうって訳でもないけど、演出的にはかなり効果的な配置。このボタンだけ赤かったら尚更良かったかな。
そしてパドルシフト。BMWのそれはステアリングの回転部に取り付けられ、つまりステアリングの回転と一緒に動く仕様。対してジュリアのパドルシフトはステアリングの「回転しない部分」に取り付けられ、ステアリングをどう回そうがそのままの位置に固定されている仕様。
運転するまではBMW式が良かろうと思っていたものの、これだと大きくステアリングを切ればシフトも上下逆さまになったりあらぬ方向にあったりで変速がしづらい。対してジュリアのパドルシフトは固定されてはいるがその分上下に長い大きなシフトで、ステアリングを大きく回していても迷わず変速が出来た。ドライバービリティで言えばジュリアの方が圧倒的に使いやすい。素晴らしい。
メーターも慣れ親しんだ二眼アナログメーターの間にデジタルメーターがある形式で安心感。フルデジタルメーターのように情報過多に陥ることはなく、運転に必要な情報だけがある感じ。やっぱりメーターはこれで充分だ。
そしてセンターコンソール部↓
シフトレバーの操作はBMWと同じく、左に倒すとMTがモード。そのまま手前に引いてシフトアップ、倒してシフトダウン。このシフトアップとダウンの方向も◎。
加速G減速Gの方向に合わせた設定がやはりいちばん自然。これが逆だとどうも気持ち悪い。マツダ、BMW、アルファロメオ。「走る楽しさ」を開発の主軸に置くメーカーはちゃんとこの方向を採用しているのが興味深い。
インフォテインメントシステムはこれまたBMWチックで、極めて良好な操作感。手元のコントロールユニットの動作もそっくりで迷うことなく操作できた。この手元のユニットがあるかないかもまた大事なポイント。タッチパネルのみ。と言うのは大抵運転に支障をきたす。
その他スイッチ類もかなり分かりやすく配されており、「操作を迷う」ようなことはほぼ無いと思われる。この辺り、「運転に集中出来るように」手を煩わせない配慮が至る所に感じられて、やっぱりドライバーズカーはこうでなくっちゃ。と改めて感じた。
走り!接地感がものすごい。
さあそしていざ走り!
試乗距離が短く、且つスピードを出せる場面も少なかったので、ジュリアの持つポテンシャルの全てを把握しきれなかった気はする。がしかし。走り出しの瞬間から漂うただ者ではない感。
なんと言うか、接地感、4輪が路面に接地している感触がもの凄かった。例えば、今どういうアスファルト舗装を走っているかが手に取るように分かるようなそんな感触。目が粗くザラザラしているのか、細かくツルンとしているのか、継ぎ目が多く荒れているのか、舗装が古いのか新しいのか。そんな路面の細かい状況まで伝えてくるような豊富なインフォメーション。
それ故に、タイヤに磁石かなんかが埋め込まれていて、アスファルトに吸着でもしているんじゃなかろうか、と感じるほどの接地感、ダイレクト感があった。だからものすごく安心感が強い。タイヤが寸分たりともズレないような、絶対に滑らないだろうな。と確信出来るほどの安定感。
極低速で走っていてもそんな状態。当然速度が上がってもその状態は続いて、「絶対に路面を離さない!!」そんな意志が感じられるような強烈な接地感。もしかして物凄く重たいのか?と思いきや、ヴェローチェの車重は1,630kg。決してそういう訳ではない。
いやはや。これがアルファロメオか。
ジュリア・ヴェローチェのツインスクロールターボは、踏み込みから若干のタイムラグを経て強烈な加速が始まるいわゆる「どっかんターボ」。リニアな加速感とはちょっと違うものの、極めて刺激的なフィーリング。ディーゼルエンジンに乗り慣れた身としては、この辺りの感触の違いが興味深い。
ディーゼルは太く大きな力で背中を押されるような感触、代わってガソリンエンジン、今回のジュリア・ヴェローチェのターボは鋭く尖った力で前から引っ張られるような感触。どちらも甲乙付け難く面白いのだけど、やはり市街地でジュリアのようなどっかんターボを使いこなすのは少々難しい。ワインディングにでも出てみたらその能力を存分に発揮出来るのかもしれないが、今回の試乗距離ではそのパワーをうまく使いこなせなかったかもしれない。
にしても、とにかくあの接地感。前後重量配分は理想的な50:50。これでワインディングでも走ったらめちゃくちゃ面白いはずだ。実に素晴らしい。
官能的で刺激的で妖艶で。なんだか五感を刺激されるようなドキドキ感。
まさに情熱的。そんな熱いクルマだった。