トヨタ 試乗記

【トヨタCH-R試乗】ボディ剛性の高さと低重心が際立つ万能型SUV!

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実はトヨタが嫌いである。

思い返してみれば、これまでの人生でトヨタ車を運転した記憶も、乗車した記憶もほとんどない。所有したことはもちろん無いし、偶然なのか周囲でトヨタ車に乗る人間もなぜかいなかった。

いや、コストパフォーマンス的に言えば圧倒的なのは分かっているんです。なんてったって国内全業種を含めた研究開発費ランキングでは堂々の首位。日本で唯一、1兆円を超える金額を研究開発につぎ込む企業ですから。

世界の自動車メーカーを見渡しても、フォルクスワーゲンに次ぐ第2位の研究開発費を誇る、規模の経済を体現する世界一の自動車メーカーですし。

 

それだけに。

どうも面白味に欠ける、パンチのない、無難な車を世に送り出す所が気に食わなかった。

乗れば高品質位で、高耐久で、あらゆる面で優れた優等生なのは分かっている。分かっているけどどうにも面白くない。国産車で言うとスバルやマツダの方が明らかに面白いではないか。

そう思っていた所にCH-Rである。

 

実は発売当初は、「なんてダサい車なんだ!!」と驚愕した記憶がある。日産JUKEをライバルに据えたアグリーでファニーでタッキーなコンパクトSUV。近年のレクサスにも言えることだけど、こねくり回し過ぎたデザインがどうも受け入れ難い。そんな第一印象を持っていたのだけど・・・・

最近はなぜかそのファニーデザインが妙に気になる様に。町でCH-Rに遭遇するとつい目で追ってしまう。な〜んか気になる。嫌いだったアイツがなんか気になる。

思春期の女子みたいなそんな想いに気付いて一念発起、試乗してきました。

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シャシー剛性、足回りの質はピカイチ!トヨタCH-R試乗インプレッション。

エクステリア

まずはなんと言ってもその特徴的なエクステリアから。

試乗車はG-T、カラーはブラックマイカです。

どこから見ても押し出しの強いスタイリングと、複雑な面構成。このグリングリンの面構成が当初は気持ち悪いと言うか、受け付けないと言うか、やり過ぎ感に辟易しましたが・・・

しかし段々と慣れてきたというか何というか、徐々にそのやり過ぎの面構成が不思議と「いいかも」と思えてきた。CH-Rを街で見かけるとつい気になって見てしまうし、ラフスケッチを可能な限り維持してショーモデルをそのまま実車に起こしたようなデザインは特徴的でこれまた随分目立ちます。

カタログなんかを見てみるとかなり「エグい」というか、良く言えば新しく斬新で、悪く言えば奇をてらいすぎた行き過ぎたデザインに感じますが↓

しかし実車を見てみると色のせいかここまで派手な印象は無く、近くで見てみると意外にも「普通」。そんなに奇をてらった印象を持たなかった。

白やシルバーなど、明るいカラーの方がもう少しその複雑な面の構成がわかったかもしれない。ブラックは良くも悪くもそれを隠している感じで随分落ち着いた雰囲気を醸し出してますね。

CH-Rのグリングリンのスタイリングを隠したい場合なんかには濃色の選択がありかもしれません。

しかし、CH-Rと同じく近未来を感じさせるような凝ったデザインを採用したBMWのiシリーズなんかは見慣れてくると新しさを通り越して途端に古臭さを感じてしまうのが不思議ですよね。徹底的に新しさや斬新さを追求するとそのピークが過ぎた時に一気に古くなってしまう。今のところその古さはCH-Rからは感じないですが、同じ道をたどる可能性もあるかもしれません。

結局の所オーソドックスに洗練を極めた一見地味なデザインが飽きられず長生きするのかもしれないですね。

ともかく、モノとしてのかたまり感や主張力は高く、人によって賛否がはっきり別れるデザインではありますが、最終的にはまあ、有りかな。と感じる。そんな不思議な外観であります。

グレード

インテリアの雑感に移る前にCH-Rのグレードを整理。

CH-Rには2種類のエンジンごとに2種類、松竹梅で言う所の松と竹のようなグレードが設定されています。すなわち計4グレード設定。

 ハイブリットガソリンターボ
「松」グレードGG-T
「竹」グレードSS-T
駆動方式2WD4WD
燃費(JC08モード)30.2km/L15.4km/L

ハイブリットエンジンを積むSとG、ガソリンターボエンジンを積むS-TとG-T。Sが下位グレード、Gが上位グレード。そしてハイブリットは2WDのみ、ガソリンターボは4WDのみの不思議な設定。

4つのバリエーションに絞ったシンプルな構成は良いとして、2WDか4WDかの選択に自由度が無いのは少々気になる。雪道を想定して「4WD必須!」という人にはガソリンターボエンジンの選択肢しかないし、その逆も然り。

当然燃費性能も変わり、カタログ値でほぼ倍の差がつくことになる。

この辺りもっと柔軟性を持たせても良いのではないか。それかSUVなんだからいっその事4WDのみの設定にするとか。しかしなぜか最近のSUV市場は2WD仕様の車種が極めて多いからそれも無理なのだろうか。フォルクスワーゲンティグアンの日本ラインナップも今のところ2WDのみだし、プジョーの3008、5008はそもそも2WDモデルしか存在しない。

SUVって言ったら問答無用で4WDだろうが!!

と考えている自分なんかには不可解でしょうがない。

ともかく。

その上下位グレードの違いをまとめると以下のようになる↓

 
S
G
タイヤ215/60R17
シルバーメタリック塗装
225/50R18
切削光輝+ブラック塗装
ドアモールディングブラックメッキ+ピアノブラック
シートファブリック上級ファブリック+本革
電動ランバーサポート
シートヒーター
内装ブラックリコリスブラウン+ピアノブラック加飾
室内イルミネーション
シートバックポケット
ナノイー搭載
安全装備ブラインドスポットモニター(BSM)
クリアランスソナー
バックソナー
外観UVカットガラスUVカット+赤外線カットガラス
LEDフロントフォグランプ
オートワイパー

ベースグレードのSに加えて、ホイールがインチアップされ、加飾や便利機能、安全性能が追加された豪華版がGとなる。その価格差は24万円。

Sに24万円追加すればGになり、S-Tに24万円追加すればG-Tとなる。

今回試乗したのは上位グレードのG-T。確かにインテリアもスタイリッシュで、ホイールも中々迫力あるデザインだし、イマイチ効果は検証できなかったけど熱線もカットするフロント&ドアガラスとのことで、申し分無い装備内容なのは当然Gの方。

ただ、走りに影響を与える要素としてはホイールが17インチか18インチかくらいで動力性能にはほとんど差がない。装備内容的には当然Gグレードの方が良いが、特にこだわりがなければSグレードでも充分。

インテリア

そのGグレードのインテリア。ぱっと乗り込むとブラウン基調の落ち着いて品のある印象を持った。

めちゃくちゃ高級感に溢れる上質な空間!という程のものではないが、安っぽさは感じられずとても品良くまとめられた印象だった。

高級感、質感という部分では近年のマツダがやはり秀でている。新型CX-5の最上位クラスL-PACKAGEの上質感はかなり高く、そこに比べると若干質感は落ちるものの、しかしそのポップなキャラクターとマッチした心地よい仕上がり。

ナビは全車オプション。試乗車には最上位の9インチタッチパネル型ナビがビルトインされていた。最近の車の傾向として、運転時の視線移動をより少なくすべくダッシュボードを突き出るように設置されるのがトレンドだが、しかしその分タッチパネルだと感覚的に随分遠くまで手を伸ばさないと画面に触れられない。この場合、「タッチパネルだから操作性もいいでしょ!」とはならず、むしろ逆に大変使いづらい。UIも決して優れているとは言えない。

この辺りは欧州車や近年のマツダなど敢えてタッチパネルを採用せず、手元で操作できるコントロールユニットに重きを置く戦略が成功しているしその方が圧倒的に使いやすい。

シート&ステアリング

↑シートはバケット型でGグレードには電動ランバーサポートも付く。

しかし、「人車一体の走り」「我が意の走り」を売りにしている割にステアリングは普通。せっかくシートもスポーティーなバケット型にしたのだから、ステアリングも少々スポーティーにもう少し太くするとかグリップポイントを付けるといった味付けがあっても良かった。

一般的乗用車、例えばヴィッツとかカローラとかそういった車を操舵している感覚になるようなごく普通のステアリングである。

「車速感応式」、いわゆるサーボトロニックが標準装備のステアリングは決して軽々しい訳ではないが、ほんのもう少しだけ手応えが残る、重めの設定のほうがよりドライブ感、操舵感を演出できたのではないかと感じる。とはいえ必要にして充分な感触ではある。

7速シーケンシャルシフト

↑シフト近辺には電動パーキングブレーキと、パーキングブレーキのオートホールドボタンが。今や標準装備が普通だが地味に便利な機能で、一度使ったら止められなくなる代物です。

シフトノブを右に倒すと7速のシーケンシャルシフトモードに。MTチックにギアを選択して走れるようになるが、元々がCVTだからかギアチェンジ感触は薄い。「ん?これで変わったの?」というような感触だが、下り坂では重宝しそう。ただ、写真にもあるように奥側に倒してギアアップ、手前に引いてギアダウン。という操作方向に最後まで慣れず、都度「えーと・・こっちか」と考えながらの操作になってしまった。

シフトアップは手前に引き、シフトダウンは奥に倒す動作の方が加速G減速Gの方向と合っていて感覚的に分かりやすい気がするんだけど・・・。BMWやマツダは後者の方式で、両パターン試乗してみると圧倒的にその方が感覚的に操作しやすく感じます。

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