BMW 試乗記

【新型BMW X4試乗】ガソリンの30i、やっぱりディーゼルが恋しい!?

更新日:

モデルチェンジを果たし、早くも2世代目となったBMWのクーペタイプSUV「X4」を試乗しました。

X6から始まった「クーペタイプSUV」という新ジャンル。

デビュー当初はその奇抜なスタイルが随分と滑稽に感じたものですが、その後メルセデスが慌ててGLCクーペを出し、当のBMWも弟分のX4を展開したりと、着々と市場を開拓していきました。

クルマを観るこちら側にも免疫がついたのか、デビュー当初ほどその特徴的なクーペスタイルに違和感を持たなくなったような気がします。

そのX4。2世代目は更に流麗なクーペスタイルSUVとなり、色気さえ感じる出来栄えに。

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BMW新型X4ラインナップ。

最新のX4ラインナップはこちら。

X4 xDrive 20dStandard6,950,000円
M Sports7,740,000円
X4 xDrive 30iM Sports8,380,000円
X4 M40i10,040,000円

発売当初は2モデル体制。ガソリンエンジンの30iと、同じくガソリンのMパフォーマンスモデルであるM40i。30iには「Mスポーツ」のみが設定。尚、Xシリーズにはお馴染みでX3にも設定されているxLine設定はない模様。

試乗車は赤字で示した30iのMスポーツです。

ついにディーゼルエンジン20dが追加!

2020年に入り、BMWのディーゼル攻勢は押しの一手。

X2に20dを追加し18d・20dの2ディーゼル体制、そしてついにX4にも20dがラインナップとなりました。

BMWは4シリーズやX4等々、偶数モデルがクーペタイプSUVであり、このクーペタイプモデルにはディーゼルエンジンを追加しないのが慣例でした。

が、8シリーズにディーゼルエンジンが投入された辺りから積極的にクーペモデルにもディーゼルを投入しています。

これでX1〜X7まで全てのXモデルにディーゼルエンジンがラインナップされました。

X4が一番最後でしたね。

20dということで、X3やX2に搭載されるエンジンと同型、出力・トルク共に同数値です。

エンジン

エンジン縦置き、FRユニット。

では全3種のエンジンスペックを。

X4 xDrive 30i

  • 2.0L直列4気筒ツインパワーターボ
  • 最高出力 252ps/5,200rpm
  • 最大トルク 350Nm/1,450-4,800rpm
  • 0-100km/h加速6.3秒
  • 燃費 13.4km/L

X4 20d

  • 2.0L直列4気筒ツインパワーターボ
  • 最高出力 190ps/4,000rpm
  • 最大トルク 400Nm/1,750-2,500rpm

X4 M40i

  • 3.0L直列6気筒ツインパワーターボ
  • 最高出力 360ps/5,000rpm
  • 最大トルク 500Nm/1,520-4,800rpm
  • 0-100km/h加速4.8秒
  • 燃費 10.9km/L

X4はクーペモデルということで、ガソリンベースモデルのX4 30iとX3 20iを比べると、スペック的には明らかにX4の方が上。燃費は同等ながらもX3は184ps、290Nm、X4は252ps、350Nm。

0−100km/h加速もX3 8.3秒に対してX4 6.3秒と、かなり速い。同じ2.0L4気筒ガソリンエンジンではあるものの、ラインナップのヒエラルキーを維持する為か、明らかにX4の方がチューンアップされている模様です。

個人的にはディーゼル投入は嬉しいところ。車重の大きいSUVとディーゼルとの相性は抜群で、一度味わうと病みつきになるトルクフルな加速と経済性は特筆に値するでしょう。

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BMW新型X4 30i試乗インプレッション!

エクステリア

フロント

それではX4 30iのエクステリアをじっくり見てみましょう。

顔つきはほぼ、と言うかX3と全く同じという印象です。並べてみると・・・

X3 20d

X4 30i

顔つき自体は同じですが、全体のボリューム感は違います。

X4の車高の低さと、全幅が+30mm大きいワイドな佇まいが印象的ですが、それでも全体的なディテールや造形は全く同じで、兄弟車であることを強く意識させる作りになっています。

堅実な兄と少々やんちゃな弟。X3とX4の関係はまさしくそんな所。

「アクティブ・エア・ストリーム」が無いために・・

にしても、キドニーグリルを見ると中のハの字型のパイプが丸見えなのが気になりませんか??

実はこれ、例えばX1やX2ではちゃんと黒く塗られていて目立たぬよう処理がされているんです。

X1。黒い耐熱塗装がされており、ほとんど見えない。

ではなぜX3やX4ではこの処理がされていないかと言うと・・・本国では「アクティブ・エア・ストリーム」という開閉式キドニーグリルが標準搭載されており、普段は中が見えないから。なんですね。

この「アクティブ・エア・ストリーム」、日本では5シリーズ、新型3シリーズにも標準搭載された機構で、普段は空気抵抗を抑える為クローズ。ラジエーターの放熱が必要な時だけオープン。というもので、中のパーツが丸見えになる時間は限られている訳です。

この機構が本国で標準採用されているX3、X4は中のパイプは塗装されず、しかしこの機構が日本導入のX3、X4からは削減されてしまい、パイプもそのまま塗装なし。という悲劇?によってこのようになってしまったようです。

逆にこの機構が元々装備されないX1、X2は中のパイプが目立たないよう予め黒く塗られています。

ちなみに、耐熱塗装自体は2万円ほどで可能なよう。納車時にこれを希望するオーナーも多いんだとか。

リア

特徴的なのはリアですね。他のXシリーズと明らかに違うテールランプのデザイン。ラインナップに一貫性を持たすべく、似た形状のテールランプを採用する事が多いBMWにあって珍しい処理。

この一見、メルセデスのような薄型のテールランプ。もしかしたら次期X6もこういったデザインを採用してくるのかもしれませんが、今の所X4にしか見られず新鮮な印象です。

GLCクーペを意識したのでしょうか?

エンブレムがスリーポインテッドスターに置き換わればそのままメルセデスになりそうですね。

リアのスタイリング自体は、全高が抑えられていることでよりワイドで力強い印象を与える迫力の形状。

ルーフを見れば中央部だけスポイラーが無い形状。当然空力を意識した造りでしょう。

このX4のcd値は0.30。X3のクーペ版ということでX4の方が優れた値かと思いきや、実はX3が0.29と勝利。それでも0.30というのは優秀です。ポルシェ・ケイマンでさえ0.32、他のスーパーカーでも0.30オーバーはざらにあります。

クーペスタイルSUVなだけになんと言ってもリアビューは特徴的です。緩やかに力強い「おしり」へと集束していくシルエット。このクルマのベストアングルは恐らくここでしょう。

最近あまり見かけない、というかそもそも販売台数も多くないでしょうが、3シリーズグランツーリスモ(GT)の車高をそのまま上げたようなシルエットですね。美しい・・。

インチダウンしたスタッドレス

ホイールのデザインとサイズってつくづく大事・・・

今回は珍しくスタッドレス仕様での試乗機会もありました。ノーマルタイヤは245/50R19でイケてる19インチホイールを履きますが、スタッドレス試乗車は225/60R18サイズ。MスポーツではなくStandardグレードに用意される標準ホイールを装着していました。

オシャレは足元から。とはよく言ったもので、いくらスーツが決まっていても靴が全てを台無しにすることがあるように、ホイールもクルマ全体の印象を大きく左右することを実感。

オプション20インチホイール装着。

「台無しにする」ほどではありませんが、Mスポーツ専用のフロントエプロン、サイドスカートを装着した迫力のボディに対しては明らかに小径ホイールは見劣りしますね。

まあしかしスタッドレスとノーマルタイヤの現実的な運用ではインチダウンするのが経済的にも正解。見た目と走りのインパクトはどうしても犠牲になってしまいます。

それにしてもこのサイドビュー。これもこのクルマを象徴するアングルですね。ダックテールと呼ぶ、最後に後端をちょん、と跳ね上げたようなデザインも当然空力を意識してのこと。

先代X4と比べると全長が80mm伸びたことにより、リアへと集束していくルーフの傾斜がより緩やかになりました。

先代X4とのサイズ・デザインの比較にはBMW公式YouTubeがとても参考になるので是非。

これにより、後席の頭上クリアランスを向上しつつも、全高を5mm低下させることに成功。どうもずんぐりむっくりでファニーな印象の強かった先代と比べると、明らかに流麗でスタイルも良くなっています。

後方視界は悪い!!

リアウィンドウはかなり狭い。

その流麗なスタイルの代償と言うべきか、運転席から見た後方視界はご覧のようにかなり悪い。リアウィンドウは面積自体が小さく、バック時はだいぶ不安。

特に後席中央席のヘッドレスト、写真の状態は折り曲げた状態。これが起き上がっているとリアウィンドウ視界を見事に妨げ、ミラーでの後方確認にも大きく支障をきたす代物。

幸い、アラウンドビューモニターがかなり見やすいので後退時にはかなり助けられた。

サイズ

そのスリーサイズ。

  • 全長 4,760mm
  • 全高 1,620mm
  • 全幅 1,920mm

ホイールベースは2,865mmで、X3とぴったり同じ。全長が僅かにX4の方が長く、幅も大きく、高さは低いのがX4のプロポーション。

先代X4と比べると、80mm長く、5mm低く、40mmワイドに。近年、どのクルマもモデルチェンジの度に拡大を繰り返していますが、X4もご多分に漏れず。当然それにより居住性は増していますが、全幅1,920mmはポルシェ・マカンの1,923mmに迫る大きさです。

見た目の印象から「マカンほどの幅は無いだろう」と勘ぐっていましたが、実際はかなりワイド。X3は1,890mmでまずまずの取り回し易さを感じましたが、さすがに1,900mmを超えてくると少々気を使うのも事実。普段の道路も幾分狭く感じます。街中での取り回し、特に駐車場によってはかなりキツキツにもなりました。

カラーラインナップ

ブラック・サファイア

試乗車のカラーはブラック・サファイアとフラメンコ・レッド・ブリリアント・エフェクト。手入れが大変なのと、写真映えしないので個人的に黒は好きではありません笑

が、X4の「チョイ悪」なイメージとよく合う色。日本人が大好きな白よりは断然、ブラックの方が良いでしょう。

そしてそのブラックの上を行くのが、光の当たり具合ではオレンジがかったレッドにも見えるフラメンコレッド。

フラメンコ・レッド・ブリリアント・エフェクト

黒よりも断然こちらのレッドですね。攻撃的なテイストを醸し出す深みのあるメタリックカラー。レッドと言ってもギラギラに輝く赤ではなく、少しダークでな品のある赤。マツダのソウルレッドに近いような雰囲気です。

カラーラインナップを見ると、StandardとMスポーツで異なります。

Standardのカラー

全5色展開。Mスポーツと異なるのはホワイトが無いこと。

M Sportsのカラー

全6色展開ですが、最後の「サン・ストーン」はBMW Individual専用色なので実質5色展開となります。

インテリア

それではインテリアを見てみましょう。

ブラックステッチ

BMWのインテリアは全体的に「プラスチッキー」で艶気が無い。と言われますが、そうは思いません。必要以上に華美ではなく、質実剛健な印象を持つ機能的なインテリアとコクピット。

試乗車にインテリア装飾系オプションはなく、ご覧のインテリアはX4 20i Mスポーツの標準装備。ウッド調のトリムも標準です。

運転に集中出来るようスイッチ類が配され、メインコンソールが運転席側に僅かに傾いているのもBMWのこだわりです。

ブラックサファイアの試乗車はシート同色のステッチでしたが、フラメンコレッドの試乗車はレッドステッチ入。

レッドステッチ入り。

こちらのレッドステッチ入りの方が雰囲気いいですね。装備表を見るとMパフォーマンスのM40iに標準の仕様のよう。特に内装系オプションが付いている気配はありませんでしたが・・フラメンコレッドには標準なのか??

秀逸なインフォテイメントシステム

10.25インチ、タッチパネル機能付きディスプレイ。

インフォテイメントシステムの出来は相変わらず素晴らしいです。自分自身が使い慣れている、という点を差し引いてもかなり使いやすいインターフェースだと感じます。各項目間の移動や操作方法、階層表示のデザイン等々、よく考えられており直感的に操作出来ます。

ディスプレイ自体もダッシュボード最上部に位置するため、視線移動が少ない。

安定のコントロールユニット。

コントロールユニットも健在。ディスプレイはタッチ対応になっているものの、やはり運転中にディスプレイまで手を伸ばすのは極めて煩わしく、自然な位置に配されたコントローラーで操作することがほとんど。99%以上はコントローラーでの操作であった。

このコントローラーのクリック感、操作感は相変わらず「とても気持ちいい」。無意味にコリコリと操作したくなるような感触で、とても使いやすい。

マツダやアルファ・ロメオも似通ったシステムを採用しているが、マツダは操作に対する反応が遅く、メニュー表示や階層表示も煩雑。くたびれたWindowsのような雰囲気。

アルファ・ロメオは反応もUIもまずまずだが、コントローラー自体の触感・質感・操作感にイマイチ洗練を感じられずチープな印象。

BMWはこの優れたシステムを下位モデルから最上位モデルまで一貫して採用しているのがとても良い。

プログラマブル・ボタン

隠れた名機能、プログラマブルボタンも。

ディスプレイを大画面化してありとあらゆる操作をディスプレイで出来るようにするのが最近のトレンドですが、例えば最新の新型3シリーズでもエアコン等の物理ボタンは敢えて残しており、この辺りの配慮にも好感が持てる。

よく使う機能はダイレクトにボタン操作出来るのがベストで、例えばTESLAのような趣向も面白いとは感じるものの、運転に集中出来る環境の構築という面ではBMWの考え方もまたひとつの答え。

ちなみにCDスロット下、1から7までのボタンは「プログラマブルボタン」で要はショートカットキー。

よく使う機能を自由に登録することで、メニューから入っていかなくてもダイレクトにその画面に飛べる。

例えば、1のボタンにはよく聞く地元のFM周波数を、2にはサウンド調整の画面を、3にはトリップメーターの表示を、4にはディスプレイOFFを・・・という具合に、好きな機能を割り当てる事が出来、これがまた地味に便利。

当然、新世代の5シリーズ、3シリーズにも健在の機能で、まだまだ物理ボタンを重視するBMWの姿勢が現れている部分だと感じる。

アンビエントライト

こちらも標準装備。

昼間は質実剛健、堅実な印象を与えるインテリアですが、夜になればご覧の通り。

ホワイト、パープル、ブルー、グリーン、オレンジ、ゴールドと様々に選択できるアンビエントライトはX3ではオプション、X4では標準装備。ラインナップのヒエラルキーを維持するためか、多くの装備が標準装着されています。

直接走りに関係する所では全くありませんが、標準ならあってもいいかな。という装備。夜はかなりムーディなドライブになるかもしれませんが、夜間の長距離ドライブだと少々目障りかもしれません。そんなときはiDriveからOFFにすることももちろん可能。

ヴァーネスカ・レザーシート

電動8way調整機能も標準装備。

X3ではオプションとなるヴァーネスカ・レザーシートも標準装備。

高級感ではレザーシートの方が当然上ですが、ホールド性で言えばクロス・レザーのコンビネーションか1シリーズ、3シリーズのMスポーツ標準のスエード調ファブリックシートの方が◎

レザーは体も助手席に置いた物もとにかくスルスルとよく滑る。それでもフロントシートは元々形状的にホールド性が高く、加えて電動サイトサポートを締めてガチッと体をホールドしてやればほとんど気にならないでしょう。

しかし後席は右に左に大きく体が滑り、シートベルトで体を保持する事になるのではないかと想像します。

広さはまずまずだが・・・

この辺りは高級感より機能をとって欲しいところ。

マルチディスプレイメーターパネル

この「リング」があることで圧倒的に見やすくなる。

いわゆるデジタルコクピットは、完全なフルデジタル表示というよりもメーターの表示部のみデジタルに置き換えた。という趣向。その証拠に大小4つのメーター外郭を縁取る「リング」を「敢えて」残している。

フルデジタル表示のメーターパネルをVWティグアンにて体験したものの、道路前方とメーターとを視線移動する時に、目のピント調整がうまくいかないような遠近感が狂うような感覚があった。

その後に、BMWのデジタルディスプレイ搭載車両に乗って目からウロコ。このリングがあるおかげでメーターの「実物感」が格段に増し、視線移動時のピントがスムーズに合う。

あくまでメーターとしての視認性を確保しつつも、デジタル表示によって情報量を増やす。実によく考えられている。

随所にこうした「ドライバーファースト」の配慮を見られるのがBMWの最も好きなところ。素晴らしい。

走り・ハンドリング!

肝心の走りのクオリティ。

今回はインチダウンしたスタッドレスと、オプションで20インチホイールを履いたノーマルタイヤバージョンと2パターンを乗り比べ!中々ない機会に恵まれました。

225/60R18のランフラットスタッドレス

サイズはX4のベースグレードであるStandard標準装備の225/60R18、ホイールも同じく標準装備品。タイヤはブリジストン「BLIZZAK」ランフラットタイヤです。

一般的にスタッドレスタイヤは低温でも柔軟性を保つべく、ノーマルタイヤより柔らかいコンパウンドを使用します。よって、乗り心地も悪く言うとフニャフニャした感触になることが多いですが、ランフラットタイヤの場合、パンク時でも走行出来るようにサイドウォールがかなり頑丈に、つまり硬く出来ています。

よって、ランフラットのスタッドレスタイヤでは、非ランフラットのスタッドレスタイヤより幾分そのフニャフニャが緩和されるのが特徴です。

以前、代車としてランフラットのスタッドレスを履いた1シリーズ118i Mスポーツを運転しましたが、スタッドレスとは思えない、良い意味での足回りの張り・硬質感に驚きました。

逆に、別の代車として3シリーズセダン、320iを運転した際には同じスタッドレス仕様ながら、異様にフワフワとした乗り心地で足回りの剛性感に欠けることから、確認してみると非ランフラットのスタッドレスだった。ということがありました。

BMWの場合、元々がランフラット推奨のためか、スタッドレスでもランフラットを選べばそこまでハンドリングがスポイルされない印象があります。

今回のX4 30iでも、走り出しの印象は、

硬っっっ!!

というもので、決してスタッドレス特有のフニャフニャした乗り心地ではありませんでした。

むしろランフラットとは言え、スタッドレスでこれだけゴチゴチに硬いならば、ノーマルタイヤだと一体どうなってしまうのか。と不安に感じるほどの硬さで、はっきり言って乗り心地は悪い。

 

今回の場合、本来245mm幅の19インチタイヤを履く所、225mm幅のしかも18インチにしていることからバネ下重量は大幅に軽くなっているはずです。

その重量減が具体的にどういう影響を及ぼすのかは不明ですが、サスペンションがうまく衝撃を吸収出来ていないような感触を持ちました。

これが、本来のセッティングである19インチのノーマルタイヤになった時にどんな感触になるのか。

とにかく、「スタッドレスだから当たりが柔らかくなる」ことは全くなく、路面のゴツゴツがかなり積極的に伝わってくる乗り心地でした。

前後異径20インチノーマルタイヤ

オプション20インチホイール+ピレリP ZEROランフラット

そしてノーマルタイヤ車は標準19インチから1インチ特進の20インチ前後異径(F:245/45R20、R:275/40R20)サイズのピレリP ZEROを装着。

これが面白い事に、スタッドレスよりはゴツゴツ、ガツンガツン感が気にならない印象。20インチだし確かに硬いは硬い。が、気持ちいい硬さ、とも言うべきかクルマ全体のイメージと合っていると言うべきか。

スタッドレスの時に感じたようなアンバランスな硬さはない。

P ZEROはどちらかと言えば柔らかめのスポーツタイヤで、それによってグリップを上げているタイプ。その分摩耗も早いわけだが、そのいい意味での柔らかさが功奏したのか、ロードインフォメーションも的確に伝えつつ乗り心地も悪化させない。

いい感じである。

これはやっぱりバネ下が本来想定した重量に近いからなのか??スタッドレスの時より明らかにフィーリングが良いです。

そして当然、見た目も◎

ただ、このホイールデザイン、一見内側がブレーキダストで汚れているのかと錯覚しますね笑

Mスポーツブレーキ

ホイールを覗くと、青いブレーキキャリパーがお目見め。そうです、X4 30i Mスポーツには標準で「Mスポーツブレーキ」が付くんですね。X3はというとMパフォーマンスのX3 M40dにしか付きません。ここもラインナップのヒエラルキー。とは言えX3よりお値段100万円以上上がってますので当然かもしれませんが。

BMWは元々全ラインナップ(といっても私自身の運転経験は1、3、5シリーズ、X1〜X4までしかありませんが)とにかくブレーキの効きは極めて良いです。乗り換えて国産車だったり、あとはアルファ・ロメオのステルヴィオもそうでしたが、運転すると大概踏み遅れます。それだけBMWの効きは良いです。

では、このMスポーツブレーキが更にどれだけの性能を発揮するのか。という点は・・・正直分かりませんでした。いつもどおり、「よく効くなぁ、止まるなぁ」という感触はもちろんありますが、BMWのノーマルブレーキとの差は・・明確には感じませんでした。

が、よくよく考えてみると重量1,840kgの巨体を1シリーズや3シリーズを運転している時と同じ感覚で止める訳ですから、そう考えるとかなりの制動力。ということかもしれませんね。

そして青く、Mマークが入ったブレーキキャリバーは間違いなくかっこいいですね。18インチホイールだと所狭し感がすごいですが、20インチならば貫禄の佇まいです。

ハンドリング

口径の太いMスポーツステアリングの感触は◎

いくらランフラットでサイドウォールが硬めとは言え、スタッドレスではグリップの不足、ロール、ワインディングで切り返した時の揺り戻し、それらはどうしても発生してしまいました。

しかし、じゃあそれがどれくらい不快なのかと言うと、実際そこまで顕著では無い。

あぁ、確かにスタッドレスだなぁ

という動きが垣間見えるものの、しかしそれも最小限に抑えられているといった印象で、ロールなんてそれでもかなり少ない。この車重、この車高、そしてスタッドレスでたったこれだけのロール?という位の出来。

グリップの不足も感じはするものの、それだって本来タイヤ幅245mmの所、225mmにダウンしている訳で、それでもこの程度の低下に抑えられてるの?という具合。体感的には、ノーマルタイヤを履いたX3とおなじくらいか若干落ちるくらいの身のこなし。

細く、インチダウンしたスタッドレスでもよく曲がり、よく走る。逆に、秘めたポテンシャルの高さを痛感する結果となった。

これならスタッドレスでも全然問題ない。と思ってノーマルタイヤに乗ってみると・・・やっぱり全然違いますね。

まず、走りの「楽しさ」が一段アップ。加速する、曲がる、止まる。その一連の動作に足元のガッチリ感がプラスされ、当然ロールや揺り戻しも極小に抑えられたことで、俊敏に走り回れる。

標準は前後245mm幅の所、オプション20インチでは前後異径サイズになりフロント245mm、リア275mm幅となる。特にリアの踏ん張りは当然上がる訳で、この巨体を意識せずガンガン走り込んでいける。

ワインディングをそこそこの速度でいく位では全く問題なく、びくともせず走りきれる。いやはや気持ちいい。

加えてFRベースとは言え、そこはxDrive。FRだと「ここで踏むとちょっと滑るだろうな」というポイントで踏んでもスリップ防止装置(DSC)の介入さえない。悪路走破性のみならずオンロードの走りやすさもやはり4WDはイイ。

FRベースの4WD

FFベースのX1やX2。FRベースの我が1シリーズやX3、X4。明確に違いがあるとすればそれは「上質さと後味」。

実に抽象的な表現になってしまうが、運転したクルマを思い出して「なんか上質な感じだったな」とか「ハンドルを回すのが気持ちよかったな」とか言う後味が良いのは断然FR。

FRの2WDとFFの4WDであれば、走行性能は明らかにFF 4WDの方が上でしょう。しかし、そこに「気持ちよさ」とか「上質さ」という要素をプラスしていくと、FR 2WDの方が断然良い感じがするのが不思議なところ。

となると理想は当然FRベースの4WDになる訳で、X4もそのFRベース4WD。

路面を掴んで離さないような安定感と、なんともスッキリとしてクリーンなステアリングの「回し心地」。これだけで充分「あぁいいクルマだ」と感じさせるし、後日その走りを思い出してもやっぱり後味が良い。

エンジンフィーリングと燃費

2.0L直列4気筒ガソリンエンジン。

エンジンスペックについては前述した通り。同じ2.0L直列4気筒ガソリンながら、X3よりもパワフルにチューンされたX4 30iのエンジン。0−100km加速も6.3秒。かなり速い。トルクもガソリンにしては太め。

さすがにディーゼルのような坂道をグイグイ登っていくような力強さはないが、パワー不足を感じる局面は皆無。

特に日本の道路環境だとこれくらいが充分で、これ以上のパワーを与えられても恐らく使い切れないのではないかと思う。足るを知る。というべきか、必ずしもパワーに秀でるクルマの方がイコール「楽しい」とは限らないのがまた面白い所。

ドライビング・パフォーマンス・コントロールはお馴染みのECO PRO、COMFORT、SPORTとあり更にSPORTにはSTANDARDとPLUSが選べるように。特にこのPLUSにした時の8速ATのシフトチェンジは痛快で、加速時は3,500回転位までひっぱりながら変速。減速時にもかなり早めに「フォンッ」という音と共に軽快にシフトダウン。

この一連のシフトチェンジタイミングが実に的確で素晴らしい。

特に下り坂では多少アクセルを踏もうと安易にシフトアップせず、的確にエンジンブレーキを効かせてくるあたり、斜度センサーでも内蔵されているのかと思うほど。下り坂を走っていてエンジンブレーキを必要としている事をATがちゃんと理解しているような挙動に関心した。

しかし、軽快に回るエンジンの代償と言うべきか、燃費は悪い。カタログ値は13.4km/Lであるものの、試乗距離およそ150kmにて街中走行あり、ワインディングありで思う存分エンジンを回した結果は8.2km/L。

消費した分のハイオクガソリンを入れるとそれだけで3,000円近くになる。これがガソリンエンジンの一番痛い所。運転を楽しめば当然燃費は悪化し、燃油代は例外なくハイオクのため高い。

反面この点がディーゼルエンジンの最も嬉しいところ。運転を充分楽しんでもそこそこの燃費でしかも燃油代が安い。この差は大きい。

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BMW新型X4総評。ディーゼルが欲しい!

新型X3をベースとし、ラグジュアリーなインテリアと迫力あるフロントフェイスを受け継ぎながらも、流麗なクーペシルエットとショートストローク化したサスペンションによって走りのクオリティを一段上げた新型X4。

FRベースの4WDで走りの安定感も上質さも文句なし。クーペとは言え、使い勝手に不満はなし。

兄貴分にはX6も存在するが、サイズ的にはX4位がベスト。と言うか限度でしょう。

お値段は814万円。間違いなく高いものの、X3ではオプション設定だった装備がほぼ標準装備されていることを考えればお買い得とも言えなくもない。恐らくX3に同等の装備をつければ約100万円の価格差はかなり小さくなるはずです。

X4 30iにオプションとして追加できる装備は

  • 電動パノラマサンルーフ  ¥202,000
  • ベンチレーションシート  ¥40,000
  • harman/kardonサラウンド ¥94,000
  • イノベーションパッケージ ¥68,000

の4つしかなく、どれもあってもなくてもいい贅沢装備。

特にサンルーフは車重を40kg重くさせる上、その重量物が最上部に搭載されることからバランス的には明らかに無用の長物。純粋なスポーツクーペでは、価格が許せば軽量化を意図してカーボンやマグネシウム合金を使って少しでも重心を下げようとする所。

そこに+40kgの構造物を乗せるとなると、走りには悪い影響しか及ぼさないはず。走りを重視するならばこれはいらない。

harman/kardonサラウンドはさすがにゾクゾクする音質で、気分の高揚には効果大ではある。あれば嬉しいが、まあ贅沢装備ではある。

ということは、オプション無し、素のX4 30i Mスポーツでも充分であり、意外と現実的な選択肢なのかもしれません。

が、ひとつ残念なのはやっっぱりディーゼルが無い2020年に投入決定!)こと。

X1〜X4までを試乗を振り返ると、X2よりもX1。X4よりもX3の方が良かった。という印象。

何が違ったかと言うと、X1もX3もディーゼルエンジンだった。という事。

やっぱりSUVとディーゼルの相性は抜群で、クルマとの一体感がより増幅されるのがディーゼルでした。そういう意味で、もしX3かX4のどちらかを買うならばX3。というのが答えです。

ところでクルマの買い替え時、愛車の買取市場価格を把握していますか?ディーラーでいきなり下取りに出したりせず、まず数店舗で愛車の査定を依頼することで本来の市場価格が見えてきます。

下取りで安く買い叩かれないように、適正な市場価値を知っておくのが大事。

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